皮膚科で働く看護師の仕事内容~皮膚科の特徴と看護師の役割~
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皮膚科の看護師のメインは処置と日常生活指導です。使う機材も皮膚科特有のものがあり、処置に関して覚えることは多いでしょう。
ただ生命レベルの重症者はいないので、余裕を持って教えてもらえたり、自分自身や家族の生活に役立つこともあります。
ブランクナースや産後の復職などの際にも人気の皮膚科ですが、実際にはどんな仕事内容なのかご紹介します。
皮膚科で行う診療内容
皮膚科で診る臓器は、その名の通り皮膚です。基本的に皮膚表面に表れた疾患を診ます。
湿疹・皮膚炎
皮膚の脂肪分のバランスの不良や、年齢による肌トラブルで「脂漏性湿疹」や「尋常性挫創(いわゆるニキビ)」などが起こります。
また、接触した草花や金属類自体に毒素があって、それにふれることでいわゆる「かぶれ」てしまう湿疹や皮膚炎もあります。
通常は適切な皮膚の保清と保湿、そして軟膏塗布で治ります。
アレルギー性の皮膚疾患
接触性皮膚炎の中でも、アレルギー体質による皮膚炎は除去が厄介です。
その日の体調によって、かぶれたりかぶれなかったりもしますし、中には汗をかくだけで汗も以上のかぶれが出てしまう人もいます。
病名でいうと「アトピー性皮膚炎」「蕁麻疹」などがあります。皮膚表面のトラブルを抑える軟膏と、必要時ステロイド剤の内服をすることもあるでしょう。
また心身ともの体調管理が必要になります。
真菌性の皮膚疾患
細菌性による皮膚のトラブルで代表的な菌は「白癬菌」でしょう。どんな疾患を起こすでしょうか?
皮膚科受診の理由のトップともいえるのが、白癬菌による水虫です。皮膚を少し採取して、顕微鏡にかけるとその場で確定診断ができます。
本当に虫が泳いでいるのが見えるんですね。
患者数が多いので新薬も次々と出ています。移るので必ず完治を目指し、軟膏塗布やひどいと内服もして保清行動などの日常生活指導をしていきます。
細菌性の皮膚疾患
代表的なものは子どもに多い、「伝染性膿痂疹(とびひ)」です。
初めは単純な虫刺されも、掻き壊すことで中に潜む真菌を他の皮膚に移すことで起こります。
なかなか軟膏塗布だけでは治らず、抗生物質の内服も必要な時もあります。子どもに多いので、納得させて治療するのはひと苦労ですね。
ウィルス性皮膚疾患
ウィルス性皮膚疾患は以外に多くあります。臨床でよくみる代表的なウィルス性皮膚疾患は分かりますか?
ウィルス性皮膚疾患は繰り返すこともあるので大変です。抗ウィルス薬の内服、軟膏、ひどいと点滴加療が必要なこともあります。
他に、伝染性紅斑(リンゴ病)・伝染性軟属腫(水いぼ)などがあります。
外傷
外傷で皮膚表面にとどまるものや、火傷なども部位や種類によっては皮膚科で診ます。
また、単純な外傷とは言えませんが「褥瘡」も皮膚科のメインの疾患です。
褥瘡に関しては、予防処置も様々な工夫が為され、研究も繰り返されており最先端の外傷治療が学べる疾患です。
皮膚がん
皮膚がんにもいくつか種類があり、手術や放射線治療が行われますが、皮膚表面でみえるがんのためボディーイメージに関して難しい問題が出てくることがあります。
「表皮内癌」「悪性黒色腫」などが多い病名です。
皮膚科の特徴
老若男女あらゆる年代がいる
どの診療科も、多い年代は70代~80代の高齢者です。そこから、年齢が低くなるごとに患者数は少なくなっていくのが通常です。
しかし、皮膚科は新生児から高齢者まであらゆる世代の患者が来ます。
年代によってかかりやすい皮膚病はありますが、患者層としては年代が偏らない特徴があります。
季節ごとに流行疾患があり、混み具合に差がある
皮膚科は季節や気候に振り回されやすい診療科です。
『みかん』さんのいうとおりで、季節ごとによって看護師の仕事量や忙しさに大きく差があります。
中には、繁忙期だけ短期の看護師募集をしている皮膚科もあります。
再発も多い
皮膚科疾患は、「その疾患になりやすい体質」があって発症することも多く、再発が多い診療科です。
アトピー性皮膚炎やじんましんなど、本人がしっかり気をつけていても状況によっては再発してしまうことがあります。
また白癬などしっかりケアしていれば再発しない疾患もあります。
再発防止も考えた日常生活指導が、非常に重要な診療科となります。
皮膚科の看護師の仕事内容
皮膚科で行う処置はたくさんあります。使う機材も特殊なものもあり、勉強になるでしょう。
処置介助
皮膚科の処置は非常に多いです。主なものを挙げます。
●創傷処置
創傷処置も表面上の傷で、消毒して抗生物質入りの軟膏を塗布して適した保護材を貼るといった程度のものから、深い褥瘡処置まで多岐にわたります。
傷の処置方法も奥深く、消毒した方が良いものから要らないもの、軟膏や保護材も様々工夫されています。
傷の処置は今後も研究が為されていくでしょう。
●軟膏塗布
軟膏は処方されたものを患者自身が自宅で塗布することがほとんどです。
ただその場でかゆみがひどかったり、緊急性があれば塗布していく事もあります。
自宅で塗布する患者には、塗布のタイミングと保清してから塗布することなどを伝えます。
●爪切り
よく高齢者などで、爪が何層にもなって硬く伸び切ってしまっているような爪の方がいます。
あまりに硬く厚い爪は、皮膚科用の爪切りやニッパーで切ります。
新しい爪が生えてくるよう、適量を見極めて医師が切りますが、看護師は切りやすいように介助します。
●液体窒素による凍結療法
良性の皮膚の腫瘍、老人性疣贅などは良性ではありますが気になります。
このようないわゆるイボは液体窒素などで凍結させて、ポロリと落ちるようにしていく処置があります。
看護師は液体窒素の用意や、ちょっと痛みがあるので患者が動かないように支えたりなどの介助をします。
液体窒素は-200℃です。取り扱いは要注意ですね。
●水いぼ取り
こどもにできやすい伝染性軟属腫は、いわゆる水いぼです。
先にペンレスなど、痛みどめを貼ってから専用のピンセットなどでつかみ取るような処置です。
それでも、子どもはいたがって嫌がることも多く、介助は力仕事です。
内服で経過を見ることもありますが、即効性を考えるとピンセットで取ることが多いでしょう。
●魚の目などの処置
魚の目や、足の裏のひどい角化症を剃刀で削る処置もあります。
鋭利な刃物を使うので、患者の体位の固定などが看護師の仕事になります。
●手術介助
皮膚科で行う手術は、嚢腫などを切除していわゆる膿みを出すような手術や、早期の皮膚がんに対するものなどがあります。
皮膚表面にメスを入れるので、できるだけ跡が綺麗になるような工夫も必要です。
外来でその場で局所麻酔で切り取ってしまうものから、手術室で麻酔をかけて行う手術まであります。
日常生活指導
皮膚科看護師にとって日常生活指導は非常に重要です。指導する内容な以下のようなものが多いでしょう。
- 軟膏の塗布の仕方や時間帯
- 保清の大切さ
- 衣類や植物類、様々な刺激を避けること
- 疾患や使う軟膏によって紫外線を避ける必要性
特にアトピー性皮膚炎など再発しやすいものに関しては、日常生活を一緒に見直し再発する要素をできるだけ取り除く必要があります。
確かに、日常生活指導はあまり一般論で終わらないようにしたいものです。
ストレスといっても、皮膚病を発症するストレス源は日光や草花・植物かもしれませんし、疲労や精神的なダメージかもしれません。
できるだけ、原因を具体的にして、その患者の出来るケアを考えていけるのが理想です。
皮膚病はメンタルな要素も大きい!大切な看護師の役割
皮膚科領域に関して、よく「皮膚はメンタルを表す」と言われることがあります。
皮膚は思っている以上にメンタルに敏感です。
皮膚科の看護師は処置も多くその介助に追われがちですが、できれば患者の話をよく聞いて、患者が精神的に落ち着いて納得して治療を続けられるようにしたいものですね。
このように、皮膚科看護は思っている以上に奥深く勉強しがいもあるんですね。
皮膚科へ転職してみたいと思った方は以下の記事も参考にしてみてください。
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。