看護師が大学病院から転職するならどこがいい?
PR山村真子
そのご質問、私でよければお応えしますよ!
はい、例の人です(笑)
今回は、実際に大学病院から総合病院へ転職した経験のある看護師が、大学病院からの転職事情について、ご紹介します!
大学病院を辞めたいと思うのは、こんな時
はい、そうですよ。
そ、それはさすがにちょっと…(汗)
大学病院の中でも、名前だけなら誰でも知っている大学系列の病院だった、とだけお伝えします。
そう思われる方も多いですよね。
では、大学病院を辞めたいと思ってしまう時を3つ、ご紹介しますね。
とにかく忙しい!
そうですよね。
でも私が働いていた大学病院では、基本的に「入院待ちの人が多く、空室が出ることはほとんどない」状態だったので、病棟のベッドは常に満床でした。
また、どなたも治療が一段落すればすぐに一時退院&その間また次の方が入院、と人の出入りも大変激しかったので、毎日のように入退院対応をしなくてはならず、仕事中はずっと時間に追われていました。
総合病院へ転職後、「空床があるって、こんなに業務負担が楽になることなんだ!」と知ったくらいだったので、この「空床がほとんどない」というのは、忙しく感じる大きな理由の一つとしてあげてよい項目だと思います。
定時で帰れることはほぼないですし、気が付けば1週間が終わっていた、なんてことも珍しくないほど、忙しかったです。
勉強が大変!
大学病院は、治療の他に研究機関という役割もあります。
ゆずさんの認識でほぼ間違いないかと思います。
私が当時勤めていた大学病院は日本でも珍しい、ある分野に特化した診療科だったので、看護師向けの参考書にはまず載っていない症例が非常に多く、勉強するのも一苦労でした…。
また、治療内容も一般的ではなく、最先端のことをしているため、ネット上のわずかな文献を頼りに勉強しなくてはならず、勉強が本当に大変でした…。
れもんさんように勉強熱心な方なら、大学病院はうってつけだと思います。
私のように、「始めは大学病院で鍛えてもらおう!」と安易に考えて、新卒で入職してしまったような勉強苦手ナースにとっては、この勉強が大変というのは、本当に辛かったです…。
一般的な疾患の患者さんの症例を見たくなる
先ほどの話にもつながるのですが、大学病院では珍しい症例が多い一方、一般的な疾患の方はあまりいらっしゃいません。
例えば、肺炎や尿路感染症といった、医療現場において比較的よくみられる症例のことです。
そうですね。
でも、大学病院においては、肺炎や尿路感染を主疾患としている方はまずいらっしゃらないんです。
私が担当していた部署は特殊な部署だったので、そもそもそういった一般的な疾患の方はほぼいませんでした。
その特殊さは、先輩たちからは「新人でこの部署は、今後看護師として成長が難しいのでは?」と言われてしまうほどだったんです。
大学病院では、私が経験した診療科のように、総合病院ではほとんど出会わない症例に多く出会える一方、一般的な症例を見る機会が非常に限られてしまうため、「もっと看護師としてそういった症例を見たい」という思いから、仕事を辞めたくなってしまう、というケースは珍しいことではないんです。
あまり大きな声では言えませんが、私が当時勤めていた大学病院において、新卒の離職率は5割を超えていたそうです。
今からもう10年以上前の話なので、今はだいぶ改善されているかとは思いますが、新卒看護師の多くが今回私があげた点を辛く感じたために、大学病院を辞めてしまった看護師さんが多かったのは事実だと考えます。
大学病院を辞めるにあたって、注意すべき点
そうですよね。
特に大学病院は、他の病院からの転職にプラスして、ぜひ注意していただきたい点が2点あります。
はい。
私自身、大学病院から転職しましたが、今振り返ってみると、もっとこの2点を注意しておけばよかったと感じています。
なので、これから大学病院からの転職を検討されている方には、ぜひ注意していただきたいと思います。
楽な職場はない!
転職理由として、よく「忙しすぎて、自分の時間が取れないから」というのがあげられます。
特に大学病院の場合、顕著に忙しいことが多いため、「多忙による疲労」も、転職を検討する理由の一つとしてよくあげられます。
そうですね。
でもここで一つ注意しなくてはいけないのが、「楽な職場は一つもない!」ということです。
確かに、大学病院の忙しさに比べたら、それよりも大変な職場は少ないかもしれません。
しかし、忘れないでいただきたいのが、「看護師の職場はどこも大変」ということです。
みかんさんは今、仕事が大変だと思いますか?
たとえ毎日過度な残業がなくなったとしても、それでも毎日残業が必要な職場は多いですし、仕事内容も大学病院とはまた違った大変な部分もたくさんあります。
おっしゃる通りです。
そのことを理解せず、転職後に「楽だと思ってたのに、全然楽じゃない!」とギャップを感じてしまうため、注意が必要です。
大学病院よりも待遇がよい病院は少ない
そうですね。
寮はとても立派でオートロックも完璧。
なのにすごく低料金で入寮することができたので、とても助かりました。
また、これは転職後に気が付いたのですが、ボーナスの金額がびっくりするくらい高かったです。
正確な金額はお伝えできませんが、あれから10年以上たった今でも、あれほどのボーナスをいただけたことは、その後一回もありませんでした。
大学病院の多くは病院そのものの規模が大きく、福利厚生がしっかりしているところが多いです。
よって、転職にあたっては、大学病院と同程度の福利厚生を求めることはかなり難しいといわざるを得ません。
はい。
なので、転職を検討するにあたっては、この福利厚生等、同じレベルの待遇は望めないことは事前にしっかり把握した上で、転職活動をされたほうがよいと考えます。
大学病院からの転職時、ネックとなること
そうですね…。
大きくわけて、以下の3つが特にネックになると感じます。
実施できる医療行為が限られている
大学病院の特徴としてまず挙げられるのが、看護師として実施できる医療行為が限られている、ということです。
はい、そうなんです。
大学病院では医療行為の多くは医師が行います。
今は看護師も行うようになった大学病院が増えていますが、経験を多く積んだ看護師だけがやってもよい、としている大学病院も多く、経験が浅い看護師さんや、大学病院しか経験したことのない看護師さんの中には、今まで一度もサーフローを入れたことや、胃管チューブを挿入したことがない、という方もいます。
そこが、大学病院からの転職にあたって非常にネックになります。
中には、サーフロー挿入等医療処置は失敗しないで当たり前、としている職場もあります。
よって、いくら大学病院で看護師として知識や経験を積んだとしても、技術面で心配、というのは大きなネックといえます。
クリティカルラダーが下がる恐れ
看護師の研修として多くの病院が取り入れている「クリティカルラダー」。
転職にあたっては、このラダーが下がってしまうということも、ネックの一つです。
ラダーの内容は、各職場によって項目も違います。
よって、転職先によっては、項目が達成できていないと判断されてしまい、ラダーを下げられてしまう可能性があるんです。
はい、その通りです。
大学病院では、その診療科におけるプロフェッショナルを目指しますが、総合病院ではオールマイティーが好まれる傾向にあります。
その違いはラダーにも表れており、大学病院で詰んだ経験が十分に評価されないことも考えられるのです。
付属病院での大卒者の場合、総合病院はどういった病院かを把握しておく必要も
大学病院から転職を検討される方の中には、大学出身で、実習先も大学病院がメインとなり、総合病院はほとんど行ったことがない、という方もいらっしゃるかもしれません。
そうですね。
だからこそ、このタイプの方はより注意が必要です。
このタイプの場合、大学病院=職場であり、総合病院との違いについて、あまり詳しくありません。
そのため、いざ転職となったとき、大学病院と総合病院とのあまりの違いの多さに戸惑ってしまうことが考えられるんです。
一番わかりやすいのは「教授回診がない」ということでしょうか。
大学病院の場合は、週に1回、教授の元多くの医師が病棟を巡回し、患者さん一人ひとりを診ていきます。
これが総合病院ではまずありません。
また、大学病院ではたいてい病棟に研修医や医師が一人以上いることが多いですが、総合病院では医師が誰もおらず、何かあった時には携帯でオンコール、なんてことも珍しくありません。
このような、大学病院と総合病院との様々な違いに戸惑うことが多い、ということをあらかじめ把握した上で、転職活動をしなくてはいけません。
大学病院からの転職では、どんな病院がいいか
私の場合は、地域の中核病院へ転職しました。
私の場合は、とにかくもう一度一から経験を積みなおさなければいけない、と考えていました。
なので、大学病院で経験を積んだけれど、もう一度一から指導しなおしてくれる職場を探したところ、その病院の看護部長さんに迎い入れていただいたんです。
はい!
総合病院では、研修制度が整っていることも多いため、医療技術についても学べるため、大学病院からの転職先としてお勧めです。
そうですね…。
県立病院などの公立病院は、元々の福利厚生の良さから希望者が多い、という特徴があります。
よって、仮に求人情報があり、募集要項に掲載された蔵兼をクリアしていても、落とされてしまう可能性があるため、注意が必要です。
また、ある程度経験を積んでからの転職である場合には、年齢制限によって受験そのものができないことも十分あり得るため、注意してください。
私の経験上からみても、クリニックや診療所は、大学病院からの転職先にはお勧めできません。
クリニックや診療所では、少ない看護師で様々な業務を回さなくてはいけません。
特にネックとなるのは、ここでもやはり医療技術への経験不足です。
おっしゃる通りです。
スタッフが少ないために、周囲から指導を受ける機会も限られてしまいます。
そんな中、医療技術に不安があったとしても、クリニックや診療所では十分な研修を受けられないままになってしまう可能性が高く、精神的負担も大きくなることが想定されるのです。
はい、そういうことになります。
転職先を決めるにあたっては、ぜひ「自分が大学病院では積むことのできなかった研修や指導を受けられるかどうか」、これを基準にして、職場を探していただけたらと考えます。
転職後、心がけたいこと
うーん、実は大学病院からの転職だからこそ、気を付けたいこともあるんです。
そこで、ぜひ大学病院から転職された方へ、転職後に心がけていただきたいことを、ご紹介しますね。
転職先の看護について、「前の職場では」は絶対禁句!
転職先で仕事をしている中で、大学病院とは違うやり方を採用していることも多いかと思います。
そうした時大切なのは、「前の職場では」と考えない&決して周囲にそれを言わない、ということです。
そうとは言い切れません。
仮に「前の職場では…」と話してしまうと、「だったら前の職場に戻ればいいじゃない」と言われてしまいかねません。
大学病院で提供している医療は、まさに日本国内において最先端の医療です。
一方、転職先の病院の中には、エビデンスに従っていないことを未だに採用している病院もあるかと思います。
しかし、そういったことを積極的に指摘してしまうと、周囲に良い印象を与えられません。
関係を十分に築き、周囲からの信用を得た上でそういった指摘をするのと、転職してすぐに指摘するのでは、周囲の印象は大きく異なります。
よって、「前の職場では」は転職後絶対に言わないようにしましょう。
医療技術を早く身につけるべく、練習を積むべし
大学病院からの転職においてネックとなる、医療技術。
これを早く習得するためには、地道な練習しか道はありません。
そのため、一日でも早く習得するために、日々地道な練習を積む努力が必要になります。
そうですね。
私の場合は、新人の子と一緒になって、採血をしあい、点滴もお互い指しあって練習しました。
そのため、大学病院からの転職を検討している場合は、ぜひ4月での転職をお勧めします。
そうすることで、新人の子と一緒にそういった技術を練習しあうことができ、お互いにとって良い刺激になりますよ。
1から看護を覚え直すくらいの気合いが必要
そうですね。
私の場合、やはり1から看護を覚えなおす必要があったこと、でしょうか。
私が勤務していた診療科とは全く違う、一般的な内科メインの病棟へ転職したので、疾患から医療技術、看護の進め方等、ありとあらゆることをもう一度一から覚えなおす必要があり、慣れるまではとても大変でした。
そういうことになります。
新人時代はまだ若く、パワーもあったので乗り切りましたが、年齢を重ねた後にまたそれを一からやるのは、かなりのパワーが必要でした。
なので、この気合は相当強くして、しばらくは仕事優先にするくらいの気合がないと、精神的にばててしまう可能性は否定できません。
まとめ
大学病院から転職するにあたっては、待遇や学習、技術面など、様々な問題に向き合わなくてはいけません。
しかし、私の場合はそれを乗り越えて転職した結果、看護師としてより成長できたと今は思っており、転職したことについて後悔はありません。
大学病院から転職を検討している方は、今回の記事内容を踏まえた上で、ご自身にとって後悔のない結論を出していただけたらと思います!
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。