神経内科で働く看護師の仕事内容と神経内科のナースになるために必要な要素
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神経内科は脳梗塞などでも急性期治療が適さないケースを診るので、慢性期疾患の病棟です。
慢性期病棟の募集を検索したら、一般内科や消化器内科の次くらいに求人が多いようですね。
急性期病棟の忙しさに辟易した看護師が「慢性期病棟で働きたい」と思ってしまうことが、時々あるようですね。
でも、慢性期にはまた独特の大変さがあります。慢性期=ゆったりして楽ということはないでしょう。
ただ神経内科は、難解な疾患と共に生きる患者に精神的・身体的・そして将来的に関わることができる「看護」そのものを追求できる診療科でもあります。
れもんさんに何があったのかは分かりませんが、神経内科の看護師の仕事内容や、神経内科の看護師になるためのポイントを知ってもらって一緒に転職について考えてみましょう。
神経内科の看護師の仕事内容
バイタルチェック
バイタルサインを測定するのは、どの診療科でも同じです。
その中で神経内科にとって大切なバイタルサインは、脳梗塞など血管疾患も多いことから「血圧」があります。
他に、筋力や四肢の硬さで疾患の状態を見ることも多いので、「左右の手指の握力差」や「歩行状態」なども日常的なバイタルチェックで看ていきます。
神経内科特有の検査の介助
神経内科に多い検査は「MRI」「神経伝達速度」「脳波」「知能検査」などの検査です。時間がかかる検査が多い、ともいえるんですね。
一定時間じっとしているのは通常でも辛いものです。疾患で一定の体勢が辛い人にとっては、更に辛いものとなるでしょう。
余裕を持って誘導し、少しでも安楽に検査ができるように工夫します。
また、知能検査は物忘れの程度を診るので、人によってはプライドが傷ついて憤慨してしまうことがあります。
確かに直接的に怒ったりしなくても、この検査に誘導されるだけで傷ついているかもしれませんね。
そういった検査もあるので心配りが必要でしょう。
日常生活援助
日常生活動作が侵される疾患が多いため、日常生活援助は多くなります。
その中で、あまり手伝いすぎてしまうと残存機能を委縮させてしまうこともありますし、手伝わなすぎては事故の可能性もあります。
その見極めは患者が少しでも良い状態をキープするために重要です。
神経内科の看護師になるための3つのポイント
「待つ」ことができる
神経内科の看護師をしていると「待つ」ということが場面によく出会うんです。
それは、診療や診断の課程でも日常生活援助でもあります。
●診療や診断において
病気の診断において、患者の経過を追わないと病名がつかないことが多くあります。
例えば、「パーキンソン病かな?」と疑われた場合、パーキンソン症状を起こしやすい薬を切ってみるなどまず症状が出るような状況をやめてみます。
更に、パーキンソン病の薬を投与して、効果があるか経過をおいます。
薬をやめて症状が消えたり、パーキンソン病の薬が効かなければパーキンソン病ではない、という結論になります。この過程が2週間から1か月かかるんですね。
その間、患者は不安を抱えて「待つ」ことになりますが、焦って待つことができない人も少なくないんです。
診断がつかないのに症状があるって不安ですよね。
なかには色々な医療機関を受診してまわったり(いわゆるドクターショッピング)、ネットで調べまくって悪い方悪い方へ考えてしまう人もいます。
看護師は、患者が「安心して待てる」ように、今後の流れや1か月ほどで急性憎悪は無いことなどを説明していかなくてはなりません。
医師の診察に対する看護師のフォローで、患者が安心してくれることがあります。神経内科の看護師のやりがいの一つです。
パーキンソン病ではなく、薬剤性のパーキンソン症状だったのですが、その診断を待つことができなかったのです。
ネットなどで調べることで、むしろ自分がパーキンソン病であると確信してしまい不治の病という思い込みをしてしまったようです。
医療者にとっての2週間はあっという間ですが、患者にとっての2週間がいかに長いかを痛感しました。
●日常生活援助について
入院している患者の援助についても「待つ」ことが求められます。
神経内科の病気は、基本的に動作が鈍くなったり、不安定になったりすることが多くあります。
小刻み歩行や、跛行、勇み足の様な歩き方は神経内科特有の症状です。トイレや更衣などの日常生活動作の援助は、時間に余裕を持って患者に焦らせないように介助しなくてはなりません。
また、症状が進むと仮面用顔貌になって反応が得られづらくなることがあります。
「反応が無い」のではなく「反応できない」という状況に対応するのは「待つ」気持ちです。
待つことに息づまることも多いかもしれませんね。
ただ、手をかけ目をかけ、本来の看護業務である療養上の世話に時間をかけることができるということでもあるのではないでしょうか。
また、待つ間じっくり患者を観察できます。
その観察と分析は医師の医療行為や診断にも、とても有効な情報となります。看護診断が直接治療に関われる診療科なのです。
「探求心」を持てる
神経内科では、看護師や医療者から見た神経内科の病気に対する探求心と、患者側から見た自分の病気に対する探求心に対するケアがあります。
●神経内科の疾患に対して
神経内科の疾患は、まだ全容が解明されていないものも多くあります。今までの常識が、数年後には常識でなくなることもあります。
またもう一点、診断や治療に関して試行錯誤が必要な診療科です。
一つの病気を疑っても、違う病気が隠れていないか、本当に治療は効果が出ているかという視点をもって患者を看ていかなくてはなりません。
疾患に関して探求心を持って相対すると、神経内科は奥深く興味がどんどん出てくるでしょう。
●患者の自分の病気に関する探求心へのケア
長患いの方が多いことや聞いたことのない病名も多いことなどから、患者は自分の病気についてよく調べてくることがあります。
患者の方が詳しいということもよくあるんです。
「疾患にやたら詳しい、そういう患者はちょっと苦手」と思ってしまう看護師って少なくないですよね。
しかし、神経内科では常に患者に先んじている必要はないのです。
自分でも勉強して患者の知識に追いついたり、間違いがあれば訂正したり、一緒に学んでいくことは神経内科ではよくあることです。
看護師だからと見栄を張る必要はなく、フラットな気持ちで患者に接すればよいのです。気が楽になりませんか?
「長期療養」に関われる
神経内科の疾患は一生付き合うことになることが多くあります。
10代でてんかんを発症した人は、そのあとに受験や就職、結婚や出産など多くのイベントを抱えています。それ毎に持病があることが一つ壁になるのです。
薬を飲んでいる中での出産や就職をどうコントロールしていくか、共に人生を重ねるように考えていくことが求められます。
また、60代や70代での発症であっても、日常生活に関わることを一緒に考えなくてはなりません。
家族も巻き込んで介護問題を解決する必要もでてきます。
難しい問題も多いですが、看護師は独自の視点で創意工夫できることもたくさんあります。
精神的に落ち着いて、病気を持っていても通常の生活ができる、と思えるように関われるのが理想ですね。
神経内科へ興味を持った看護師さんへ
神経内科で求められることとして、待つことを挙げました。待つことは、自分に時間がたっぷりあれば何でもないことです。
しかし「他の仕事もある」「カンファレンスを待たせている」「早く帰って子どものお迎えに行かないと」など、看護師に時間がたっぷりあることはほとんどありません。
そういう意味で厳しい職場かもしれません。
しかし神経内科は、五感を使って患者と相対し患者の人生に寄り添える、そういったやりがいが味わえる職場ではないでしょうか。
神経内科への転職に少しでも興味を持たれたら、ぜひ一度経験してみてほしいなと思います。
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。