整形外科とはどんな診療科?整形外科について詳しく紹介します!
PRpu-totoro
整形外科の患者層で最も多いのはやはり高齢者です。しかし、骨や筋肉など運動器の障害は若年層にも多く、職業病の腰痛などは働き盛り世代などにもみられます。
また生命レベルのケースも少なく、それらのことから整形外科に転職した方は、他の診療科に比べて明るいと感じるのではないでしょうか?
私も整形外科外来につく時は、比較的気持ちが明るくなったりします。
しかし、整形外科には整形外科の大変さもあります。患者が明るく元気で楽?元気だから大変?
転職を考えている方へ、整形外科の特徴をお伝えしますので参考にしてみてください。
整形外科とは
整形外科とは、ずばり骨と筋肉を診る診療科です。
体の中の病気ではないので、患者や病棟は比較的明るくて元気、賑やかに感じることも多いでしょう。生死に関わる事態が少ないことも特徴です。
整形外科は骨格・筋肉・神経を診る
整形外科は、人間の体の中で「運動」に関わる臓器を扱う診療科です。
「運動」とは、激しいスポーツだけでなく、人間が立ち上がって歩く・手を伸ばして物を取るという動作もすべて含まれます。人間が動くとき、骨や関節などの骨格、その骨を囲むように存在する筋肉・神経は実に絶妙に連動しているのです。
そして、運動器それぞれの部位やその連携に支障が出ると、痛みが出たり体の動きが制限される事態が起こります。そのような事態を解決するのが、整形外科の仕事なのです。
整形外科の種類を細分化
必要とする運動のレベルは人によって違います。オリンピックを目指して徹底的に体を鍛えている人と、日常生活レベルの動作が維持できれば良い人とでは、当然治療内容もゴールも違ってきますよね。
そこで同じ整形外科でも、このように種類があります。
●整形一般
いわゆる日常生活や仕事をするのに、支障が出ている患者を診ます。「肩が痛くて掃除が出来ない」とか「転んで捻挫したみたい、歩けない…」などの訴えに対応することになります。
重症事例として交通事故や転倒・転落などによる複雑骨折なども含まれます。
一般的に平たく整形外科を看たいという人の転職先になります。求人募集も多い分野です。
●スポーツ医学
スポーツによるけがや障害を扱います。野球やサッカーなどスポーツをすることで、重点的に痛みやすいか所があるのは何となく分かりますよね。
特に成長期の子どもは、一生の問題になる可能性があります。スポーツができないだけでなく日常生活に影響しかねないので、専門医の診察が望まれます。
更に、また同じようにスポーツができるところまで、骨と筋肉を治さなくてはならないので一般の整形外科とは違う考え方が必要になってくるのです。
スポーツ医学に興味を持って転職先に考えているときは、学校で習った整形外科以外のスポーツ医学を勉強しましょう。
募集が多くは無いので、しっかり知識を持っていることが大切なアピールになります。
●リウマチ外科
リウマチ自体は自己免疫性疾患ですが、痛んで症状が出るのは骨・関節です。そこで、整形外科の知識をもって診ていくリウマチ外科という特殊外来があります。
この専門医は、整形外科の知識と共に自己免疫や膠原病などの知識ももっています。
一般的な総合病院の中の、一つの外来という位置づけが多いようです。リウマチや自己免疫疾患などに興味を持って転職先を探している方は、クリニックだとリウマチ専門という求人があり、得意な医師が常駐しています。
●骨代謝外来
高齢化社会となり、骨粗鬆症の問題が深刻化しています。
骨粗鬆症の問題はまずは骨折です。
そして、骨折による寝たきり、合併症の発症など特に高齢者が骨折すると後がなかなか大変ですよね。
そこで、骨粗鬆症を発見したらなるべく早く骨密度を上げて、骨折を予防しようという動きが整形外科で今非常に盛んです。
骨密度を改善する薬剤が各メーカーから次々に開発されており、内服や注射、注射でもインスリンの様な自己注射などあらゆる方法、回数で患者が選択できるようになってきました。
そういった骨粗鬆症の治療と骨折予防に特化した外来で、一般整形と共に骨粗鬆症の治療をしている施設も多いですし、特別にこの外来がある施設もあります。
骨粗鬆症に関しては、整形外科へ転職すると自然と身につく知識となるでしょう。
●骨・軟部腫瘍外科
運動器に出来る腫瘍などを扱います。この科だけは整形外科の中で生命レベルの危機も多い、特殊な科になります。
部位による整形外科の細分化
また骨や関節の部位によっても、専門医がいます。
専門医であっても整形外科全般診ることはできますが、例えば同じ病院で整形外科医が4人程度居て、それぞれが得意とする部位があり患者を紹介しあう、という総合病院は多いようですね。
●脊椎
腰部脊柱管狭窄症など、脊椎の病気が専門です。脊椎には重要な神経が通っており、手術などは困難を極めます。
専門医による正しい診断と、正確な治療が必要な部位になります。
●上肢
上肢には、「手」「肩関節」などが含まれます。いわゆる40肩や50肩、ばね指などが一般的でしょう。
ぐるり360度近く回転できる関節は、人間の体の中では肩関節だけですよね。その特殊構造を理解している医師が診ています。
●膝
膝関節もまた特殊な構造で、人間の全身を支える役目をしています。
かなり頑丈に出来ているものの、その役割の大きさから痛みやすく、整形外科の中で患者数はトップクラスになっています。
膝関節の痛みや腫脹に対する処置も多く、再び歩けることを目指す手術も複雑なものです。そこで、膝関節を熟知した整形外科医が必要なのです。
●腰痛外来
腰痛は、腰回りの局所の炎症だけで起きるわけでありません。前後や上下の筋肉の問題などでも起こる、実は奥の深い病気です。
そしてまた再燃を繰り返す腰痛は、慢性的に付き合っていかなくてはならない症状でもあります。
人間の複雑な動きを支える運動器は、知れば知るほど奥の深い動きをしていますね。
死亡退院が少ない
整形外科の魅力の一つに「生命レベルの患者が少ない」ということが挙げられます。
実際にある総合病院の1年間の死亡退院数は、内科系の総数278名・脳神経外科48名などに対して、整形外科は0名です。
だからといって楽という結論にはなりませんが、告知問題、急変や死後処置といった事案は他科に比べて少ないとはいえます。
整形外科の患者層の特徴
整形外科の疾患は老若男女、様々な年代の方がかかります。そしてそれぞれの世代に特徴があります。
乳幼児期
乳幼児期は分娩の影響、先天疾患などがまだまだ多い時ですね。病名としては、先天性股関節脱臼、筋性斜頸、また関節炎などが多くみられます。
乳幼児期は骨や筋肉が発達途上であることと、分娩の影響や先天疾患など小児特有の要素があるので、一般外来で対応が難しいときは小児専門の整形外科を紹介します。
小児に興味がある方は、一般の整形外科より小児整形外科を転職先に選ぶのも一つです。
学童期
学童期に入ると、スポーツや運動を本格的に始める子どもも増えてきます。
まだ成長途上の軟骨に負荷がかかることにより起こるスポーツ障害は、きちんと治癒しないと将来的に影響することがあります。
行動範囲も増え骨折や捻挫、脱臼などの外傷も一気に増える時期なのです。
外傷に関しては一般外来で対応できますが、スポーツ障害を疑われる時には専門の小児整形を紹介します。
スポーツ障害を診る専門施設に関しては、あまり求人情報が多くないようです。ある程度慣れた人が長くいるパターンが多いようなので、興味があればできるだけ早く広く情報を集めましょう。
成人期
成人期になると、骨折や捻挫などの外傷も多いのですが、特徴的な事として「職業病」が増えてきます。
一人一人の生活が画一的では無くなる世代なので、問診時には日常生活の様子や仕事内容などについてよく聞くことが診断のヒントになるでしょう。
職業柄立ちっぱなしの方の腰痛、パソコン操作の多い人の頚椎症などが例として挙げられます。
発症要因も様々なら、設定ゴールも様々な世代です。目指すADLもまだまだ高いのですが、『ゆず』さんの言うように、なかなか継続治療してくれないこともあります。
治療介助のみならず、生活スタイルの指導や治療継続の援助など看護師のやりがいは多くあります。
一般整形でも、ある程度手術件数も多く整形外科に重点を置いている病院を転職先に選ぶと、成人期の患者を多く看られるでしょう。
老年期
一番のトピックスは骨粗鬆症が増えることですね。
それによる骨折、痛みでの体動困難などが出てきます。成人期にリウマチや痛風などを発症した方は、悪化してくることもあります。
老年期の方にとって、整形外科疾患は直接的にADLを下げます。そして、治療の進み具合によっては自宅を造り変えたり、状況によっては施設を探したりという事態もあります。
そうなんです。これは整形外科看護師なら誰もが一度は格闘する問題です。整形外科に関しては、高齢者の認知症は日常的な課題なのです!
整形外科の患者で老年期の方の占める割合は多く、整形外科を掲げている病院であればまず診ることはできるでしょう。また逆に、整形外科を転職先に希望される場合は老年期+認知症の方を看る知識をつけた方が良いですね。
バラエティに富んだ整形外科
整形外科と一口で言っても、このように多種多様な経験ができる可能性があります。老若男女、様々な患者との出会いもあります。
比較的明るく賑やかであることも大きな魅力の一つです。整形外科への転職を考えたら、自分はどのような患者が多い施設で働きたいか考えてみてくださいね。
人気記事ベスト5
この記事を読んだ人は以下も読んでいます
登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。