その退職理由じゃ辞められない?看護師が退職を引き止められたときの対処法
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看護師の退職では、よほど辞めてほしい人でない限り「引き止め」があります。
引き止めをうまく断れないと、退職時期が延びてしまったり、最悪の場合は職場に残らざる負えなくなってしまいます。
では、「引き止めにあって辞めさせてもらえない」という問題にはどう対処すればいいのでしょうか?
この記事では、師長を経験した立場から具体的なアドバイスをさせていただきます。ぜひ参考にしてみてください。
引き止めを断るには「辞める」という強い意思が大事
私はかつて師長をしていたので「引き止める側」にありましたが、「あ、この人は引き止めても無理だな」と思う人と、「もしかすると思いとどまるかも」という人がなんとなくわかるものでした。
その両者の違いは、ズバリ!「辞める意思の固さ」です。
辞める意思と理由が明確で、次の計画を立てている人は、引き止めても引き止まることはありませんでした。
ですよね。では、引き止めの断り方をケースごと具体的に見ていきましょう。
看護師の退職理由別!引き止めの断り方
ケース1.ほかの分野の経験がしたい看護師Aさん
一般病院の消化器病棟で働くAさん(27歳・看護師経験6年目)は、救急救命の分野に進みたいと思い転職を考えています。
このケースでありがちな引き止めの言葉は、
「救急だったらうちの病院でも多少は経験できるでしょ」
「まだ消化器看護の経験も中途半端なのに転職はどうかと思うけど……」
などです。
看護師のキャリアを考え、「その転職は適切じゃないんじゃない?」という方向から引き止めをしてきます。ホントに看護師個人のキャリアを考えているかは不明ですが……。
●引き止めの断り方
この手の引き止めに対しては、
- 進みたい分野を決めておく
- 現在の職場(病院)では実現できない理由を明確にしておく
- なぜ今なのか、なぜこの時期なのかを明確にしておく
つまり、しっかりとしたキャリアプランを準備しておくことです。
師長と言えども、他の分野のことまで熟知しているわけではありません。進もうとする分野の最新の(←ココ大事です)情報には、転職の適否の判断を示すことはできません。
分かりやすく言うと、「師長の知らない話をして煙に巻く」ことで、引き止めを断りましょう。
ケース2.育児との両立が難しいので退職したい看護師Bさん
一般病院の内科病棟で働くBさん(33歳・看護師経験9年目)は、転職後4ヶ月勤務してきましたが、思っていたよりも仕事がキツく残業も多い。育児との両立は難しいと思い転職を考えています。
このケースでありがちな引き止めの言葉は、
「残業が多いのは、まだ仕事に慣れていないからじゃない?」
「できるだけ残業が少なくなるように職場としても調整するから」
などです。
また、子育て経験のある師長であれば、
「私も大変だったけど、何とかなるから」
「家のことはご主人とも協力し合って」
「仕事しないと生活はどうなるの?」
など、を織り交ぜながら引き止めにかかります。
退職の理由が、「仕事がキツい」という感覚的な問題であるため、「考え方次第よ」「工夫できることもあるんじゃない?」と説得されやすいのです。
●引き止めの断り方
この手の引き止めには、「自分にとっての(←ココ大事)育児と両立可能な働き方とはどういう働き方なのか」を明確にしておくことで対処しましょう。
たとえば、クリニックや健診センター・訪問看護など、残業が少ないへの転職や、短時間のパートやアルバイトなどの働き方に変えることを明確な理由にしましょう。
ただし、転職後4ヵ月という短い期間での決断であるため、当初の自分の見込みが甘かったことは認めつつ、という態度を示すことは重要です。
また、辞める意思が固まっているなら、家庭内の問題を詳しく言う必要はありません。
ケース3.人間関係がしんどいので退職したい看護師Cさん
一般病院の内科病棟で働くCさん(25歳・経験3年目)は、先輩や同僚と仕事の進め方で衝突することが多く、ストレスを感じています。職場や診療科に特別のこだわりもないでの、イヤな人間関係から離れるために転職したいと考えています。
この退職の理由をストレートに伝えてしまうと、こうやって引き止められてしまいます。
「あなたのほうにも原因があるんじゃないの?」
「チームや係を変えてみることもできるから、辞めなくてもいいんじゃない?」
人間関係だけを退職理由すると、「人間関係の問題はどこの職場でもある」という方向から引き止められやすいのです。
私が知る「引き止まった人」の多くは、こうした人間関係を理由に退職しようとした人です。
しかし、こうしていったん引き止まった人も、翌年以降にもっと人間関係をこじらせて退職してきました。
●引き止めの断り方
退職の理由を「人間関係の問題だけ」にしないことです。キャリアアップやキャリア転換の理由と「合わせ技」にしましょう。
そして、人間関係の問題に触れる場合は、自分にも原因があることを認めつつ、気持ちを一新するために環境を変えたいことを伝えましょう。
ケース4.もっと稼げる職場に転職したい看護師Dさん
整形外科病院の病棟で働くDさん(28歳・看護師経験7年目)は、もっと給料が高いところで働きたいと考え、大学病院や総合病院への転職を考えています。
このケースでは、
「ココでも働き続ければ昇給するわよ」
「専門資格を取れば、資格手当がでる(かも)よ」
などの言葉で引き止められます。
しかし、給料の不満に関して、師長自身ができることは限られています。給料アップや資格手当支給の交渉をするといっても、実現は難しいことは師長自身も分かっています。
なので、
「条件がいいところは採用も厳しいわよ」
「給料が高いところは残業や夜勤が多いんじゃない?」
「給料で仕事を選んじゃいけないわ」
といって、給料を目的に転職を考えることに「ダメ出し」をして引き止めようとします。
●引き止めの断り方
退職の理由を「給料だけ」にせず、キャリアアップと「合わせ技」で対抗しましょう。キャリアアップがメインで、給料アップは後付けとしたほうがさらに良いでしょう。
ケース5.理由はいろいろあるけど、とりあえずやめたい看護師Eさん
一般病院の循環器科で働くEさん(29歳・看護師経験8年)は、仕事内容も合っていない気がするし、人間関係も良くない、このままココにで働き続けてもな……。コレ!という決定的な理由はないけど、転職したいと考えています。実は過去に転職歴が2回あり、そのときも同じような理由で転職しています。
ですね。
「はっきりした理由もないのに辞めさせられない」
「そんなあいまいな理由で転職するのはあなたのためにならない」
といって、叱責+指導的立場から引き止められやすいケースです。
●引き止めの断り方
転職の理由を絞り込みましょう。
引き止め回避のためにも必要ですが、むしろ有意義な転職にするために「なぜ辞めたいのか、次はどうしたいのか」を明確にしておきましょう。
師長のこんな言葉やあんな態度…どう対処する?
「辞められるとみんなが困る」のように、退職・転職の理由に関わらず、引き止めでありがちな師長の言葉、態度があります。
これにはどう対処すればいいのでしょうか。
「辞められると困る」と受け入れてくれない
「あなたが辞めるとほかの人の負担が増える」「○○業務を任せる人がいなくなる」などを理由に引き止めることはよくあります。
こういった引き止めの仕方をされると断りづらいかもしれませんが、これに対しては、「辞めるまでにしっかりと引継ぎをします」の一言でOKです。
「次の人が決まるまで」とお願いされる
「次の人が決まるまで待ってほしい」「新卒が一人立ちできる頃まで待ってほしい」という言葉で引き止められることもありがちです。
特にリーダーや主任などのポストについている人の場合は、そう言われると負い目を感じて引き止めを断りにくいですよね。
また、ポストについていない人でも「欠員が出る」「7対1が……」などと言われると、「自分が辞めることで迷惑をかけてしまう」と感じてしまいます。
「こっちにも予定がある」です。
ストレートにそうは言えませんが、転職は自分のキャリアや生活に影響する大きな問題です。自分の都合、自分の予定を最優先に考えるべきです。
「〇月から次の職場で働くことを考えているので、〇月には退職したい」ということを、毅然とした態度で引き止めを断りましょう。
「自分が辞めたら―」と後のことが心配になりますが、辞めた後のことをどうこう言う必要はありません。むしろ言ってはいけません!
退職者が出た後の人員の補充や、仕事の割り振りは職場が考えることです。
ココには一切言及せず、「微笑みながら聞き流す」で対処しましょう。
「あなたに期待しているのよ」と持ち上げる
「実は次の主任にって思っていたのよ」など、昇進をチラつかせながら引き止めをするケースもあります。
しかし、これは確約されたものではありません。
これまでの指導や教育に感謝を述べつつ「自分は(転職して)次のステップに進みます」という前向きな気持ちを伝えましょう。
次の職場が決まっていることは伝えたほうが良い?
転職先への決定している場合は、伝えても問題ないでしょう。
一方、採用の返事待ちや面接の日程調整中などの場合は、不採用になることも考えて、あえて伝える必要はありません。
「〇〇病院が不採用だったなら、残ってもいいんじゃない?」と、転職活動の進捗状況次第で引き止めが強化される可能性もあるので注意しておきましょう。
引き止められても「辞められない」なんてことはない!
あらゆる引き止めの手法を見てきましたが、どうやって引き止められても退職はできます。
しかし、揉めに揉めて退職するのは気持ちのいいものではありませんよね。
できるだけ円満に退職するための注意点を抑えておきましょう。
就業規則に則って退職の手続きを進める
- 退職の届け出期日
- 退職の届け出方法
を就業規則で確認し、決められた期日に「退職届」を提出しましょう。
退職の手続きについては、こちらの記事を参考にしてください。
参考「看護師の円満退職」完全ガイド~手続きの流れと退職理由の伝え方・タイミング~
退職の申し出の経過記録を残しておく
退職の申し出を受けてもらえなかったり、執拗な引き止めに合ってしまう場合は、その経過を記録しておきましょう。
- いつ・誰に・どのような方法で退職を伝えたか
- どのような返事、対応をされたか
を文書に残しておきましょう。
引き止めを最小にとどめるための心得
●退職意思を固め、毅然とした態度で臨む
退職の申し出は、師長の許可を得る場ではありません。
引き止められて辞めるのを辞めても、「一旦は辞めようとした人、ホントに前向きに仕事をするのかな?」「また『辞めます』って言ってくるだろうな、あまり信用できないな」と思われてしまい働きにくくなるだけです。
「辞めるって言ったら師長はどう出るかな?」「引き止められたら考え直そうかな」という気持ちで退職を申し出るのはやめましょう。
もう少し自分でしっかりと考え、意思を固めてから申し出るようにしましょう。
●転職の計画を立て、退職の時期をはっきりと伝える
転職の時期を決めておくほうが、退職の申し出時にも「本気度」が伝わります。
参考:看護師の転職活動に必要な期間ってどのくらい?失敗しないためのスケジュールの立て方
退職の申し出は、就業規則で定められた期日の1~2ヶ月前に行いましょう。
ギリギリでの申し出は、「急に言われても困る!」と態度を固くされてしまいます。一方、早すぎる申し出は、引き止めの時間を長く与えてしまうため得策ではありません。
●退職は極秘に進めるほうが良い
職場関係の人に退職を考えていることを相談すると、申し出の前に師長の耳に入ってしまうことがあります。
申し出用の理由以外の「本音」が伝わってしまうこともあり、申し出時に気まずい雰囲気になることも……。
引き止めを最小にするためにも、退職の計画は極秘に進めるようにしましょう。
看護師の退職・転職で「引き止め」はつきものです。
退職の意思をしっかりと固め、計画を立てたうえで退職を申し出、引き止めで心を揺さぶられないようにしましょう。
また、引き止めに対処しながらの転職活動は、思わぬ時間や手間がかかってしまうことがあります。
看護師転職サイトを活用して、効率良く、自分に合った転職先を探しましょう。
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