看護師転職大作戦

看護師が大学病院から転職するならどこがいい?

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個人事業主の看護師ライター
山村真子

ねぇパパ。
なんだい?れもん。お前が何かを聞いてくるなんて珍しいじゃないか。
今度ね、看護学生時代の友達が、大学病院を退職して、他の医療機関へ転職したいと思っているんだって。
ほぉ、転職をねぇ…
私は総合病院でしか経験がないけれど、大学病院って他の病院と何が違うわけ?新卒と中途、どちらがより有利とかあるのかな?
そ、それは…(大学病院で働いていたのは、もうはるか昔の話だし…)

そのご質問、私でよければお応えしますよ!

あ、最近色々話してくれる例の人!

はい、例の人です(笑)

今回は、実際に大学病院から総合病院へ転職した経験のある看護師が、大学病院からの転職事情について、ご紹介します!

大学病院を辞めたいと思うのは、こんな時

あなたも、大学病院から転職したの?

はい、そうですよ。

どこの大学病院?

そ、それはさすがにちょっと…(汗)

大学病院の中でも、名前だけなら誰でも知っている大学系列の病院だった、とだけお伝えします。

でも、大学病院って他の病院と何が違うの?

そう思われる方も多いですよね。

では、大学病院を辞めたいと思ってしまう時を3つ、ご紹介しますね。

とにかく忙しい!

忙しいのは、どの職場でも一緒だけど?別に大学病院だけが特別ではないんじゃないの?

そうですよね。

でも私が働いていた大学病院では、基本的に「入院待ちの人が多く、空室が出ることはほとんどない」状態だったので、病棟のベッドは常に満床でした。

また、どなたも治療が一段落すればすぐに一時退院&その間また次の方が入院、と人の出入りも大変激しかったので、毎日のように入退院対応をしなくてはならず、仕事中はずっと時間に追われていました。

それは結構大変そうね…。

総合病院へ転職後、「空床があるって、こんなに業務負担が楽になることなんだ!」と知ったくらいだったので、この「空床がほとんどない」というのは、忙しく感じる大きな理由の一つとしてあげてよい項目だと思います。

定時で帰れることはほぼないですし、気が付けば1週間が終わっていた、なんてことも珍しくないほど、忙しかったです。

そんな状況なら、確かに忙しい!と表現されるのも、わかる気がするわ

勉強が大変!

大学病院は、治療の他に研究機関という役割もあります。

え、研究!?患者さんが実験台ってこと!?
こら、みかん!そんなわけないじゃない。治療によってどんな良い影響があったかを調べる、ってことでしょ?

ゆずさんの認識でほぼ間違いないかと思います。

私が当時勤めていた大学病院は日本でも珍しい、ある分野に特化した診療科だったので、看護師向けの参考書にはまず載っていない症例が非常に多く、勉強するのも一苦労でした…。

また、治療内容も一般的ではなく、最先端のことをしているため、ネット上のわずかな文献を頼りに勉強しなくてはならず、勉強が本当に大変でした…。

私は研修とか好きだから、大学病院に合ってる性格かしら。

れもんさんように勉強熱心な方なら、大学病院はうってつけだと思います。

私のように、「始めは大学病院で鍛えてもらおう!」と安易に考えて、新卒で入職してしまったような勉強苦手ナースにとっては、この勉強が大変というのは、本当に辛かったです…。

一般的な疾患の患者さんの症例を見たくなる

先ほどの話にもつながるのですが、大学病院では珍しい症例が多い一方、一般的な疾患の方はあまりいらっしゃいません。

一般的っていうと?

例えば、肺炎や尿路感染症といった、医療現場において比較的よくみられる症例のことです。

え、だってそういった症例も実際に見ないわけではないでしょ?入院している患者さんにだって、そういった症例が出る人はいるだろうし。

そうですね。

でも、大学病院においては、肺炎や尿路感染を主疾患としている方はまずいらっしゃらないんです。

じゃあ、どういった方が多いの?

私が担当していた部署は特殊な部署だったので、そもそもそういった一般的な疾患の方はほぼいませんでした。

その特殊さは、先輩たちからは「新人でこの部署は、今後看護師として成長が難しいのでは?」と言われてしまうほどだったんです。

大学病院では、私が経験した診療科のように、総合病院ではほとんど出会わない症例に多く出会える一方、一般的な症例を見る機会が非常に限られてしまうため、「もっと看護師としてそういった症例を見たい」という思いから、仕事を辞めたくなってしまう、というケースは珍しいことではないんです。

なるほどね…。確かに、看護師経験が少ないうちに、より多くの症例に触れておきたいというのはあるからね。

あまり大きな声では言えませんが、私が当時勤めていた大学病院において、新卒の離職率は5割を超えていたそうです。

今からもう10年以上前の話なので、今はだいぶ改善されているかとは思いますが、新卒看護師の多くが今回私があげた点を辛く感じたために、大学病院を辞めてしまった看護師さんが多かったのは事実だと考えます。

大学病院を辞めるにあたって、注意すべき点

病院を辞めるのって、かなり労力が必要よね。

そうですよね。

特に大学病院は、他の病院からの転職にプラスして、ぜひ注意していただきたい点が2点あります。

あら?そんなことがあるの??

はい。

私自身、大学病院から転職しましたが、今振り返ってみると、もっとこの2点を注意しておけばよかったと感じています。

なので、これから大学病院からの転職を検討されている方には、ぜひ注意していただきたいと思います。

楽な職場はない!

転職理由として、よく「忙しすぎて、自分の時間が取れないから」というのがあげられます。

特に大学病院の場合、顕著に忙しいことが多いため、「多忙による疲労」も、転職を検討する理由の一つとしてよくあげられます。

自分の時間が取れないほど忙しいのは、体力的にも精神的にも辛いものね…。

そうですね。

でもここで一つ注意しなくてはいけないのが、「楽な職場は一つもない!」ということです。

え、どういうこと?大学病院は特に忙しいってことだから、転職すれば体力的に楽になると思うけど?

確かに、大学病院の忙しさに比べたら、それよりも大変な職場は少ないかもしれません。

しかし、忘れないでいただきたいのが、「看護師の職場はどこも大変」ということです。

みかんさんは今、仕事が大変だと思いますか?

当然だよ!看護師なんだもん。日々覚えることがいっぱいだし、先輩から叱られるし…。

たとえ毎日過度な残業がなくなったとしても、それでも毎日残業が必要な職場は多いですし、仕事内容も大学病院とはまた違った大変な部分もたくさんあります。

看護師の職場に、楽な場所は一つもないわよね。

おっしゃる通りです。

そのことを理解せず、転職後に「楽だと思ってたのに、全然楽じゃない!」とギャップを感じてしまうため、注意が必要です。

大学病院よりも待遇がよい病院は少ない

あなたが大学病院を選んでよかったと思ったこと、何かある?

そうですね。

寮はとても立派でオートロックも完璧。

なのにすごく低料金で入寮することができたので、とても助かりました。

また、これは転職後に気が付いたのですが、ボーナスの金額がびっくりするくらい高かったです。

え、いくらだったの!?
こ、こら、みかん!金額は聞いちゃだめよ。

正確な金額はお伝えできませんが、あれから10年以上たった今でも、あれほどのボーナスをいただけたことは、その後一回もありませんでした。

大学病院の多くは病院そのものの規模が大きく、福利厚生がしっかりしているところが多いです。

よって、転職にあたっては、大学病院と同程度の福利厚生を求めることはかなり難しいといわざるを得ません。

そんなに、なのね…。

はい。

なので、転職を検討するにあたっては、この福利厚生等、同じレベルの待遇は望めないことは事前にしっかり把握した上で、転職活動をされたほうがよいと考えます。

大学病院からの転職時、ネックとなること

大学病院から転職した時、あなたはどんなことがネックだと感じたの?

そうですね…。

大きくわけて、以下の3つが特にネックになると感じます。

実施できる医療行為が限られている

大学病院の特徴としてまず挙げられるのが、看護師として実施できる医療行為が限られている、ということです。

え、そうなの!?

はい、そうなんです。

大学病院では医療行為の多くは医師が行います。

今は看護師も行うようになった大学病院が増えていますが、経験を多く積んだ看護師だけがやってもよい、としている大学病院も多く、経験が浅い看護師さんや、大学病院しか経験したことのない看護師さんの中には、今まで一度もサーフローを入れたことや、胃管チューブを挿入したことがない、という方もいます。

大学病院から転職してきた看護師さん、私の病棟にもいたんだけど、サーフローは全くやったことがないって言ってて、びっくりしたわ。私とそんなに経験年数は変わらないのに…。

そこが、大学病院からの転職にあたって非常にネックになります。

中には、サーフロー挿入等医療処置は失敗しないで当たり前、としている職場もあります。

よって、いくら大学病院で看護師として知識や経験を積んだとしても、技術面で心配、というのは大きなネックといえます。

クリティカルラダーが下がる恐れ

看護師の研修として多くの病院が取り入れている「クリティカルラダー」。

転職にあたっては、このラダーが下がってしまうということも、ネックの一つです。

なんで下がっちゃうの?経験年数に応じてラダーは上がるものなんじゃないの?

ラダーの内容は、各職場によって項目も違います。

よって、転職先によっては、項目が達成できていないと判断されてしまい、ラダーを下げられてしまう可能性があるんです。

それは、大学病院では医療技術が身についていない恐れがある、っていうことにも由来しているの?

はい、その通りです。

大学病院では、その診療科におけるプロフェッショナルを目指しますが、総合病院ではオールマイティーが好まれる傾向にあります。

その違いはラダーにも表れており、大学病院で詰んだ経験が十分に評価されないことも考えられるのです。

それは確かに、転職をする上でネックとなりそうね…。

付属病院での大卒者の場合、総合病院はどういった病院かを把握しておく必要も

大学病院から転職を検討される方の中には、大学出身で、実習先も大学病院がメインとなり、総合病院はほとんど行ったことがない、という方もいらっしゃるかもしれません。

今は大学が急激に増えているけど、附属病院がある大学はある程度限られるわよね。

そうですね。

だからこそ、このタイプの方はより注意が必要です。

え、なんで??

このタイプの場合、大学病院=職場であり、総合病院との違いについて、あまり詳しくありません。

そのため、いざ転職となったとき、大学病院と総合病院とのあまりの違いの多さに戸惑ってしまうことが考えられるんです。

例えば、どういったことが違うの?

一番わかりやすいのは「教授回診がない」ということでしょうか。

大学病院の場合は、週に1回、教授の元多くの医師が病棟を巡回し、患者さん一人ひとりを診ていきます。

これが総合病院ではまずありません。

また、大学病院ではたいてい病棟に研修医や医師が一人以上いることが多いですが、総合病院では医師が誰もおらず、何かあった時には携帯でオンコール、なんてことも珍しくありません。

このような、大学病院と総合病院との様々な違いに戸惑うことが多い、ということをあらかじめ把握した上で、転職活動をしなくてはいけません。

大学病院からの転職では、どんな病院がいいか

あなたは、大学病院からどこへ転職したの?

私の場合は、地域の中核病院へ転職しました。

へぇ、なんで?

私の場合は、とにかくもう一度一から経験を積みなおさなければいけない、と考えていました。

なので、大学病院で経験を積んだけれど、もう一度一から指導しなおしてくれる職場を探したところ、その病院の看護部長さんに迎い入れていただいたんです。

いい部長さんに巡り合えたのね。

はい!

総合病院では、研修制度が整っていることも多いため、医療技術についても学べるため、大学病院からの転職先としてお勧めです。

総合病院の中でも、注意しなくちゃいけないことってある?

そうですね…。

県立病院などの公立病院は、元々の福利厚生の良さから希望者が多い、という特徴があります。

よって、仮に求人情報があり、募集要項に掲載された蔵兼をクリアしていても、落とされてしまう可能性があるため、注意が必要です。

また、ある程度経験を積んでからの転職である場合には、年齢制限によって受験そのものができないことも十分あり得るため、注意してください。

じゃあ反対に、ここはお勧めしないってところはある?

私の経験上からみても、クリニックや診療所は、大学病院からの転職先にはお勧めできません。

え、なんでかしら?

クリニックや診療所では、少ない看護師で様々な業務を回さなくてはいけません。

特にネックとなるのは、ここでもやはり医療技術への経験不足です。

クリニックは、採血に失敗したらそのままクレームになるケースもあるらしいわね。

おっしゃる通りです。

スタッフが少ないために、周囲から指導を受ける機会も限られてしまいます。

そんな中、医療技術に不安があったとしても、クリニックや診療所では十分な研修を受けられないままになってしまう可能性が高く、精神的負担も大きくなることが想定されるのです。

指導を受けにくい職場は不向きってことね。

はい、そういうことになります。

転職先を決めるにあたっては、ぜひ「自分が大学病院では積むことのできなかった研修や指導を受けられるかどうか」、これを基準にして、職場を探していただけたらと考えます。

転職後、心がけたいこと

大学病院からの転職は、転職が終わったらあとはもう頑張るだけだよね!

うーん、実は大学病院からの転職だからこそ、気を付けたいこともあるんです。

そこで、ぜひ大学病院から転職された方へ、転職後に心がけていただきたいことを、ご紹介しますね。

転職先の看護について、「前の職場では」は絶対禁句!

転職先で仕事をしている中で、大学病院とは違うやり方を採用していることも多いかと思います。

そうした時大切なのは、「前の職場では」と考えない&決して周囲にそれを言わない、ということです。

大学病院でせっかく最新の知識と技術を身に着けているんだから、それをもっと周囲に伝えることも、役目なんじゃないの?

そうとは言い切れません。

仮に「前の職場では…」と話してしまうと、「だったら前の職場に戻ればいいじゃない」と言われてしまいかねません。

自分たちが良いと考え、実行しているやり方に対し、「前の職場ではこうでしたけど?」と言われたら、さすがにいい気はしないわね…。

大学病院で提供している医療は、まさに日本国内において最先端の医療です。

一方、転職先の病院の中には、エビデンスに従っていないことを未だに採用している病院もあるかと思います。

しかし、そういったことを積極的に指摘してしまうと、周囲に良い印象を与えられません。

関係を十分に築き、周囲からの信用を得た上でそういった指摘をするのと、転職してすぐに指摘するのでは、周囲の印象は大きく異なります。

よって、「前の職場では」は転職後絶対に言わないようにしましょう。

医療技術を早く身につけるべく、練習を積むべし

大学病院からの転職においてネックとなる、医療技術。

これを早く習得するためには、地道な練習しか道はありません。

そのため、一日でも早く習得するために、日々地道な練習を積む努力が必要になります。

経験を積めば積んでいるほど、こういったことを新たにしなくてはいけないっていうことは、精神的にもかなり頑張らなくてはいけないわね。

そうですね。

私の場合は、新人の子と一緒になって、採血をしあい、点滴もお互い指しあって練習しました。

そのため、大学病院からの転職を検討している場合は、ぜひ4月での転職をお勧めします。

そうすることで、新人の子と一緒にそういった技術を練習しあうことができ、お互いにとって良い刺激になりますよ。

1から看護を覚え直すくらいの気合いが必要

あなたが転職して一番大変だったことって、どんなこと?

そうですね。

私の場合、やはり1から看護を覚えなおす必要があったこと、でしょうか。

私が勤務していた診療科とは全く違う、一般的な内科メインの病棟へ転職したので、疾患から医療技術、看護の進め方等、ありとあらゆることをもう一度一から覚えなおす必要があり、慣れるまではとても大変でした。

第二の新人として、また一から覚えなおすってこと!?

そういうことになります。

新人時代はまだ若く、パワーもあったので乗り切りましたが、年齢を重ねた後にまたそれを一からやるのは、かなりのパワーが必要でした。

なので、この気合は相当強くして、しばらくは仕事優先にするくらいの気合がないと、精神的にばててしまう可能性は否定できません。

みんな、大学病院からの転職について、よくわかったかね?
あ、パパ!
やっぱりパパに聞かないで正解だったわ
…ひどい…。パパだってやるときゃやるのに…

まとめ

大学病院から転職するにあたっては、待遇や学習、技術面など、様々な問題に向き合わなくてはいけません。

しかし、私の場合はそれを乗り越えて転職した結果、看護師としてより成長できたと今は思っており、転職したことについて後悔はありません。

大学病院から転職を検討している方は、今回の記事内容を踏まえた上で、ご自身にとって後悔のない結論を出していただけたらと思います!

★転職活動は早めに始めておこう!
  • 今の職場に不満や悩みがある
  • 今の職場に不満はないけど、もっと良い条件で働けるなら転職もアリだと思ってる
  • 今の職場で長く働き続ける自信がない
  • いつかチャレンジしたい転職先がある
こんな思いを抱えている看護師さんは、今すぐに転職活動を始めることをおススメします!

求人に応募することだけが転職活動ではありません。

「求人を見る」「転職市場の傾向を捉えておく」「知らない職場や働き方に関する情報を集める」、これも立派な転職活動。

早めに動き出して多くの情報を持っておけば、本格的な転職活動を始めたときに有利に立ち回ることができるし、転職の土台を作っておけば、心や体に限界がきて動き出せなくなるというリスクを回避できます。

そして、そのような転職活動を誰でも気軽に始めることができるのが、看護師転職サイトというサービスです。

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