企業の医務室で働く産業看護師の仕事内容とリアルな現場の裏話
PRじゃこ丸
そうですよね、企業でのお仕事って未知の世界ですよね。私自信、契約社員として企業で働いていた経験がありますが、何もわからず飛び込んだ世界で苦労しました。
そこで今回は、産業看護師と呼ばれる、企業内健康管理室や医務室、企業内診療所などに勤務する看護師(保健師)の仕事についてお話します。
企業で働くナースに関心のある方はぜひ参考にしてみてください。
4つの代表的な産業看護師の仕事内容
産業看護とは、事業者が労働者と協力して、産業保健の目的を自主的に達成できるように、事業者、労働者の双方に対して、看護の理念に基づいて、組織的に行う、個人・集団・組織への健康支援活動である。
そうですね・・・確かに難しい文章ですよね。では、私の勤務した企業での体験を中心として、具体的に説明しましょう。
医務室には、保健室のような役割はもちろんのこと、他にも様々な業務があり、大きく分けて下記の4つの業務があります。
健診
企業に勤務する、職員の健康診断に関する一連の業務が、産業看護師のメインともいえる業務の一つです。
企業によって、職員全員を一括で行う場合と、誕生月健診として行う場合があります。どちらの場合も、健診前後の流れは大きく変わらないと思います。
全体の流れとしては、
- 健診業者との打ち合わせ
- 健診者のピックアップ(誕生月健診の場合)
- 健診者への健診日時等のお知らせ
- 健診実施
- 健診結果通知
- 再検査のお知らせと医師面接、保健指導
- 健診結果の記録と統計処理
となります。
また、通常の健診以外にも、職種によってはコンピュータを使用するVDT作業者を対象としたVDT健診や海外出張・転勤者の、渡航前健診なども行います。
診療の介助
医師が在中している医務室の場合には、内科などの診察日があります。
私の勤務した企業では、内科の診察が週三回、眼科は一回、歯科が三回、心理カウンセリングが一回ありました。
対象が、同じ会社の人間だということ以外は、クリニックの看護師業務と同じようなものと考えてください。
具体的には、
- 診療の介助
- 採血採尿
- 投薬
- 薬品管理
- 物品管理
- 器具類の滅菌消毒(オートクレーブ)
- 休養室のベッドメイク
などがあります。医療事務が不在の場合には、レセプト業務も追加になります。
デスクワーク
パソコンを使用した業務が中心です。
社内ポータルの健康記事作成や、各種データ処理など、Word、Excelでの入力が主です。
マニュアルが用意されているところもあります。
急患対応
ほとんどの場合が軽傷であったり、診察に回すケースが多いでしょう。
ですが、医師不在時や緊急時には、傷病者のトリアージやAEDを使った救命処置が求められることもあります。
産業保健師と産業看護師の業務の違い
看護師と保健師の資格が違うように、業務内容も違うのかという点を疑問に思う人も多いと思います。
私の勤務した企業は、本店と支店があり、本店の場合にはその業務ははっきりと分けられていました。
具体的には、保健師は保健指導を中心とした業務で、看護師は診療の介助を中心とした業務を行います。
支店に勤務した私は、保健師1人看護師1人体制での勤務で、ペアを組む保健師の指示により、業務がはっきりと分担されたり、流動的に協力して行ったりと様々でした。
企業で働く看護師の1日のスケジュール
私が経験した産業看護師のある忙しい一日を切り取ってみました。
採血・採尿(定期検査)
8:40 診察準備
(薬品棚整理 カルテ用意 医師のデスク整理)
9:00 眼科・内科・歯科診察開始 (眼科のみ診察介助)
レセプト処理 カルテ整理
処方があった場合は、処方薬を準備し服薬指導
健診業務 デスクワーク
*産業医の診察日のみ*
健診結果で『異常なし』以外の社員の呼び出し
生活・保健指導
11:30 診察終了 片づけ 担当長への報告
12:00 昼休み
13:00 メールチェック
13:30 内科・歯科診察開始
午前中と同様
16:00 診察終了
(薬品請求・期限の確認 服薬説明書の印刷
器具の滅菌消毒)
16:30 メールチェック 掃除 担当長への報告
17:10 退勤
これは、あくまでも契約社員の私のスケジュールです。
正社員の保健師は、退勤時間が30分遅く、その時間でデスクワークを行っていました。
産業看護師は残業は多い?お休みはとれる?
実際に勤務する企業の規模や、雇用の種類によっても変わってくるとは思いますが、病院勤務と比較してワークライフバランスの取りやすい職場だと言えます。
急変や急患などの突発的な業務が少なく、忙しい時期もある程度予測できるからです。契約社員として勤務した私は、基本的に残業はなく、休日出勤もありませんでした。
ペアを組んだ正社員の保健師も、健診の前後以外は大抵就業時間で退社できているようでした。そのためか、育児中のママさんも多く勤務していました。
夏季休暇、年末年始休暇もまとめて取れましたし、有給休暇も次年に繰り越す日数も病院勤務に比べて少なかったです。
そして気になる懐事情に関してですが、夜勤や休日出勤がない分、さみしくなるのは仕方がないでしょう・・・。
産業看護師に向いている人ってどんな人?
・・・『アッペ』が向いているかどうかはさておき、実際に勤務した私の感想としてお伝えします。
こんな人が向いている!
- デスクワークが好き
- パソコン作業が苦ではない
- 体力的に楽な仕事がしたい
- 医療行為が苦手
- 給料が減っても、夜勤や残業、休日出勤のないところがいい
- ビジネスマナーを身につけたい
- 生活・保健指導に興味がある、または得意
- メンタルヘルスケアが得意
具体的に産業看護師になるための情報は以下の記事でまとめました↓
産業看護師になって後悔しないために
みなさんは、仕事に何を求めますか?
人それぞれ、求めるものは違いますよね。
自分の求めている職場と、実際の職場のギャップが大きければ大きいほど、仕事を続けていくことは苦痛になるでしょう。
私は、企業に勤務する前に、大きな期待をしていました。
病院勤務時代から、患者指導やオリエンテーションが好きだったので、保健指導やメンタルヘルスケアがメインにできる医務室の仕事を楽しみにしていたのです。
でも、実際に勤務すると、ペアの保健師がそういった業務は全て抱え込んでいたため、私はデスクワークや雑務が多くなり、正直看護師じゃなくてもいいような仕事ばかりの毎日に、嫌気がさしていました。
半年ほどで、ペアの保健師が交代となり、次の保健師は保健指導を含めた仕事を振ってくれるようになったおかげで、自分なりにやりがいを見つけることができました。
私の場合は、雇用の違いから業務内容にも違いがでやすい状況ではあったのだと思います。
では、なぜこんなことになったか?
それは情報不足だったからだと後から思いました。
知人の紹介で、トントン拍子で就職が決まり、産業看護師の仕事についてたいして調べもせずに入職しました。
自分の持っている少ない情報と、勝手な期待で膨らんだ夢が、現実とあまりに違いすぎて、これまた勝手に嫌になってしまいました。
産業看護師を目指している人、気になっている人は、まずはきちんと働きたい企業の情報収集をしましょう。
といっても情報は本当に少ない世界なので、一般企業の看護師の募集に強いマイナビ看護師のような看護師転職サイトで情報を集めるのがおすすめです。
正しい情報があれば、実際に入職してからのギャップに苦しむこともなくなります。ぜひ、しっかり情報を集めて転職にのぞんでくださいね。
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。