利用者の「重症化問題」に直面!グループホーム看護師の仕事内容と必要スキル
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認知症人口は462万人、2025年には700万人(*)に増加するって言われてるのよ。
はい。では、そういうことで、今回はグループホームの看護師の仕事について見ていきましょう。
グループホームってどんなところ?
認知症高齢者を対象とした共同生活施設
グループホームとは、「65歳以上の要支援2または要介護1以上の認知症患者」を対象とした介護サービスです。
入居要件として、「施設のある市町村に住民票があること」があり、住み慣れた環境のなかで、より家庭的な生活空間を提供することがサービスの特徴のひとつです。
そのため、最大利用者数は18人に制限されています。
入居者の日常生活の自立度はさまざまですが、著しい精神症状ある場合や、治療を優先すべき急性の精神症状がある場合は利用できません。
グループホームでは、こうした利用者を対象に
- 入浴、排せつ、食事などの日常生活の支援
- レクレーション
- 機能訓練
などのサービスを提供しています。
グループホームの施設数と設置背景
グループホームは、地域密着型サービス事業として、市町村の介護保険法上の事業者指定をうけた、社会福祉法人、医療法人などが運営しています。
施設数は増加傾向にあり、H25年現在、12,124件に達しています。
民家を改造した単独型のグループホームのほか、病院や他の介護事業に併設したグループホームがあります。
ところで『みかんちゃん』、今、グループホームが抱えている問題は何だと思いますか?
では、次に進みましょう。
グループホームが抱える「利用者の重症化」問題
グループホームが今抱えている大きな問題は、「利用者の重症化」です。
グループホームは当初、医療処置が必要でない人を対象としていましたが、利用者の高齢化に伴い、医療処置(点滴・胃ろう・経管栄養等)が必要なケースが増えてきました。
そうですね。高齢化に伴って身体の諸機能は低下します。
●高齢化に伴う病気の発症と認知症の悪化
あらゆる病気を発症しやすくなり、感染症にも罹患しやすくなります。
転倒による骨折や食事の誤嚥なども起こりやすいですよね。
さらに、こうした病気の治療のために入院することによって、認知症が一気に進行してしまうこともあります。
●看取りを行うグループホームも多い
しかし、グループホームでは、入居者が高齢化、重症化したからといって、退去を求めることは難しいという現実があります。
入居者が高齢化し、病気の発症や悪化に伴って医療処置が必要になり、結果的にグループホームで看取りをするケースもあります。
そして、この問題は、看護師の雇用にも大きな影響を与えています。
グループホームの看護師の配置基準と雇用状況を見てみましょう。
グループホームには看護師の配置義務はない
グループホームでは、利用者:スタッフは、3:1と定められており、夜間も常勤者を配置しなければなりません。
ただし、このスタッフというのは、看護師に限りません。
基本的には、グループホームには看護師の配置義務はありません。
しかし、施設での医療行為が多くなると、当然看護師が必要になります。
医療連携体制加算とは、施設の看護師(准看護師は不可)または委託を受けた訪問看護師が、24時間連絡可能な体制をとっていることに対する評価報酬です。
グループホームでは、看護師を雇用して「医療連携体制加算」を取るところが増えています。
医療連携体制加算を取って看護師を雇用している施設でも、常勤の看護師は1名のところが多く、このほか、
- パート・アルバイトなどでの雇用
- 同じ法人の他施設との兼務(日ごと、または期間ごとのシフト制)
があります。
グループホームの看護師の仕事内容
利用者の健康管理
グループホームの看護師は、
- VS測定・観察
- 服薬管理
- 主治医への連絡
- 機能訓練
- 医療処置(主治医の指示のもと)
などを行います。
緊急対応
グループホームは、
- 転倒による骨折
- 異物摂取
- 徘徊による行方不明、それによる事故
などの緊急事態が起こりやすい施設です。
また、インフルエンザやノロウイルス、疥癬などの感染症が発生すると、一気に広がりやすい環境にあります。
これらが発生した際に看護師は、医療機関搬送の手配や必要に応じて付き添いなどを行います。
介護業務
他の介護施同様、グループホームにおいても介護職との連携は不可欠です。
グループホームのスタッフのもっとも重要な仕事は、入居者の安否確認や安全確認です。
介護衣や、徘徊センサーやドアロックは「身体拘束」と背中合わせです。
こうした行為による健康上の弊害はないかを判断するのも看護の仕事です。
グループホームの看護師に必要なスキルとは
認知症看護の専門知識
グループホームでは、入居者の認知症特有の行動(無気力・帰宅願望・暴力・暴言・妄想など)への理解が求められます。
認知症以外の疾患の知識
前述のとおり、入居者の高齢化が進み、医療処置が可能な施設の需要が増えています。
高齢者に多い、循環器疾患、呼吸器疾患のほか、糖尿病でインスリン注射の自己注射ができていた人が、自分ではできなくなることもあります。
また、胃ろう・経管栄養・ストーマ管理・尿道カテーテル留置などの医療処置を必要とするケースがあります。
感染管理
入居者一人一人の健康状態だけでなく、施設全体の感染管理に対する知識が必要です。
ただし施設では、医療機関レベルの感染対策は実施できません。
施設の環境や入居者の状況に応じて、実施可能な方法を管理者や他のスタッフと一緒に実施してくことが求められます。
施設での看取り
認知症のある方は、環境の変化に対するストレスが大きいため、住み慣れた環境での最期を望むご家族も少なくありません。
このような事情からも、グループホームで看取りをするケースが増えています。
施設での看取りには、主治医や嘱託医を含めた体制作りが必要です。
医療機関ではない、在宅や施設での看取りの知識があるとよいでしょう。
どうですか?
グループホームの看護師の仕事について、理解できましたか?
そうですね。
特に病院勤務からグループホームへの転職を考える場合は、ここが大きな問題になると思います。
グループホームへの転職を考えるときには、「利用者の重症化」について、しっかりと理解しておきましょう。
さらに、転職で気になる給料や求人の探し方については以下の記事をお読み下さい。
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。