看護の未来が変わる!「看護師特定行為認証制度」ってなに?
PRyumi
『みかん』が舌を噛みそうになった、「看護師特定能力認証制度」。現在働いている皆さんであれば、看護ニュースなどで耳にいたことがありますね。
今まで、医師だけにしかできなかった医行為を、条件を付けて、看護師にもさせるこの制度。
2014年に法案が成立しましたが、看護師にどう影響があるのか?・・・などをご紹介します。
看護師特定行為認証制度ってなに?
特定行為研修を受けた看護師が、一定の病態の患者さんに対し、医師の手順書により特定行為を行います。これは、2014年看護師保健師助産師法の改正により決まりました。
特定行為とは
呼吸・循環器・心嚢ドレーン・腹腔ドレーンなど、21関連分野で38の特定行為があります。
特定行為の例:
- 挿管チューブの位置調整
- 人工呼吸器からのウィニング
- 心嚢ドレーン抜去
- 胃ろうボタン交換
- デクビの壊死組織除去
- 橈骨Aライン確保
- インスリン投与量調整
- 術後、EPIが留置されている方への鎮痛剤投与量調整
- 抗がん剤が血管外に漏れた時の、ステロイド剤投与
- 脱水症状に対する輸液補正
(参考:特定行為とは/厚生労働省ホームページ)
でも、さすがにウィニングは怖いわね。
特定行為は、どこで行われる?
指示をする医師・歯科医師がいる医療機関です。「看護師が特定行為ができると嬉しい場所」というと
- 訪問看護ステーション
- 診療所
- 二次救急を受け入れる病院
- 手術患者さんがいる病院
など。
まあ、要はどこでもなんです。現在実際に特定行為を行っているのは、訪問看護ステーションや診療所が多いようですね。
実例は日本看護協会のホームページに載っています。
医師余りの時代が来るといわれていますが、私たち看護師は、医師が余っているなんて実感したことはありません。指示が欲しくて、いつもドクターを探しています。
特定行為研修を受けることのメリット・デメリット
特定行為研修を受けること・メリット
知識や出来ることが増えて、やりがいを感じ、看護師としてもっと自信を持って働けるようになるでしょう。
また、今までは法律を意識して、「ここから先はドクターの領域だから、話してはいけない」ということも、一部患者さんに指導できるようになります。
更に、今までの様に「処置のため、先生の登場をひたすら待つ」ということも減るでしょう。
特定行為ができるようになる・デメリット
まず、心臓や呼吸器など命に直結する行為をすることで責任が重くなります。訴訟のリスクも、ぐっと上がりますね。
また、ただでさえ人手不足である看護師。特定行為が仕事に入ってきたことで、人手不足に拍車がかかる事が予想されます。
更に、本来の看護の仕事をする時間が減ると感じます。「心の寄り添うケア」というより「科学に基づいた医行為」が特定行為ですからね。
「特定認定看護師」という「仮称」は、ありますが、「研修を受けた看護師」であるだけです。
この研修を受けたことが、今後給料に反映されるかどうかは今のところ未知数です。
特定行為研修はどこで受けられるの?
特定行為研修受講資格
受講するには以下の条件が必要です。
- 通算5年以上の経験
- 現在の勤務先の所属長からの推薦
また、特定行為研修は2017年~2019年の間、認定看護師が受講することが計画されています。2020年以降は認定看護師以外の訪問看護師などに研修を計画予定です。
特定行為研修ができる機関
病院・大学・看護協会など全国21施設、341人の定員です。
- 日本看護協会
- 地域医療振興会
- 自治医科大学
- 袖ヶ浦さつき台病院看護師特定行為研修センター
- 埼玉医科大学
- 滋賀医科大学
- 奈良医科大学
などです。(参考:日本看護協会/特定行為研修を行う研修機関)
特定行為ができる看護師の活躍の場はコチラ!
訪問看護
褥瘡があるがある患者さんの処置、がんのターミナル患者さんのエピ投与量調整・・。寝たきりや、がんの患者さんが自宅で療養生活を送る場合、今の訪問看護や介護だけでは足りない部分があります。特定行為が出来るが看護師がいると助かる、という場面が沢山あるでしょう。
診療所
都心でも医師が足りていないというのに、地方では更に深刻です。医師が少ない分、一人当たりの担当患者数は増えてしまいます。
そこで特定行為研修を受けた看護師が、専門外来のような形で診療にあたることもあります。糖尿病などの慢性疾患のインシュリン量調整はできるのですから、医師の負担も減るでしょう。
特定行為の具体的な内容を見ると、外科病棟・救急外来などさらに活躍の場が広がることが予想されます。
特定行為認証制度導入で、看護師の仕事はどう変わっていくの?
2030年には3人に一人が高齢者になるといわれるれる日本。高齢になるほど、疾患を抱えた人は増え、医療の需要は広がります。
厚生労働省は社会的入院を減らし、介護と医療は分けてきました。(それでも、社会的入院が完全になくなったとは言えませんが。)
現在入院している患者さんたちに対しても、もっと在院日数を減らし、基本的には「療養生活は在宅で」という動きになっています。
昔はケモは入院して行うものでしたが、外来通院でケモをしている患者さんが多いですよね。時代とともに、治療をする場所が「病院から自宅へ」移ってきていると実感します。
地域に「指示を出せるドクター」が足りない分の 人手不足の解消と、医療のコストカットが目的とも思える、看護師特定行為認証制度。
「特定行為ができるようになると看護師の地位が向上する」と喜ぶ人もいます。しかし私は、看護師が「何でも屋」にならないか心配です。先生からも、「あれもこれもやっといてよ、なんて言われそう。」と思ったりして。
チーム医療で大事なことは、お互いに「何ができて何が出来ないか」を認め合うこと。 信頼関係がないとスムーズにコトが進みません。
確かに慣れた看護師なら、ドクター並みに知識も診断能力もあるとは思います。時代の流れで必要になった特定行為。しかし、それはナイチンゲールからは遠いもの。
特定行為研修も受けていないのにこんなことを言うのは図々しいのですが、これから研修を受ける人は、 「看護師が本来、何故いるのかを忘れないでほしいな」と思います。
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。