消化器内科で働く看護師ってどんな仕事をしているの?働くメリットは?
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腫瘍マーカーとは、がんが体内に存在する時に上昇する検査データです。消化器内科に勤務すると頻繁に目にすることでしょう。
消化器内科の求人は看護師求人の中でも多い方で、自分たちにも身近な比較的分かりやすい病気も多い診療科です。
しかし、対象となる臓器の多さから扱う疾患も多く、「がん」とも切り離すことができない診療科です。
多種多様な訴えから診断をつけるまで、そして治療とその後の日常生活指導まで看護師の出番が非常に多い診療科でもあります。そんな消化器内科について詳しくお話ししたいと思います。
消化器内科の特徴
人間の生涯の中で消化器系の病気に一度もならない人はあまりいないでしょう。そんな身近な感覚のある消化器内科とは実際には何を看るのでしょうか。
消化器内科で扱う臓器は口から肛門まで
消化器とは、文字通り人間が食べてその内容物を消化吸収し、栄養として取り込み、不要となったものを排泄するための臓器のことを言います。
消化器に属する臓器は、咽頭部から食道・胃・小腸・大腸・肝臓・膵臓・胆嚢…たくさんありますね。
また、更にこれらの臓器に付随するホルモン線や消化腺、胆管などの通り道があり、そしてそれぞれが病変を起こす可能性を持っています。
そうですね。学生時代の解剖生理の教科書を、もう一度出してみてください。口から肛門までの流れをさらっと追ってみると、人間の消化器とは実に理に適っていてよくできているなあと思ってしまうでしょう。
読みながら、「私の胸やけや胃痛はこういうことだったんだ」などと思ったりするかもしれませんね。自分自身にも当てはめてみながら、解剖生理をおさらいしておけば思ったより分かりやすいのではないでしょうか。
消化器内科はがん患者が多い
日本人のがんの約60%は消化器から発生しています。消化器科に勤務しているとどうしてもがん患者に多く出会うことになります。
がんというと告知問題や、5年生存率、予後の問題とその他の病気とまた違った要素があります。
他の病気は完治できれば忘れてしまうこともあるかもしれませんが、一度がんになった人は定期検診も必要ですし、がんを忘れて生きていく事は難しいものです。
それでも、一応完治したという結果になれば良いですが、消化器内科にはとりきれないがんを抱えている患者も多くいます。
がんと共存せざるを得ない人の放射線治療や化学療法、いよいよ痛みが出てきてしまった時のペインコントロールやターミナルケアなどは、医師と共に看護師の力が問われるものです。
患者と家族がそれぞれのステージ毎に希望を見出したり、悩んだりしながら生きていく過程を寄り添えるのは消化器内科の看護師の大きな意義となるでしょう。
消化器内科の看護師の仕事内容
バイタルチェックや医師の指示の下の点滴、与薬などは他の診療科と同様ですが、同じバイタルチェックでも消化器内科特有のチェックなどもあります。
消化器に関するチェック
一般に消化器症状というと「嘔気」「腹痛」「便秘」「下痢」などが挙げられます。消化器で扱う臓器は多いですが、その臓器特有の症状と共に消化器全般が機能しているかのチェックも大切です。
- 嘔気や嘔吐の有無、食欲不振の有無と程度
- 胃痛、胃部不快の有無と程度
- 腹痛の有無と程度(腹痛がある場合は場所が大切)
- 便秘or下痢の有無と程度
などです。
消化器の臓器はお互いに関連しあっています。一つの食べ物や食事を消化吸収する流れのどこかがうまくいかなければ、全般的に消化吸収の状態が変化してきます。
目に見えない臓器の異常を発見するためには、患者自身からの情報と消化吸収がうまくいっているかが見える排せつ物などで確認するんですね。
内視鏡検査や治療の介助
消化器内科の看護において内視鏡検査は必須です。内視鏡は前処置も多く、検査自体も苦痛も多いものです。
上部消化管の検査では禁食、下部消化管の検査では禁食と共に大腸内の洗浄など、内視鏡検査自体よりその前処置の方が大変なんですね。
内視鏡検査の介助自体は、内視鏡室専任の看護師や外来看護師が行うことが多いでしょう。しかし、前後の処置や観察は病棟看護師が行います。
配属されたらぜひ一度は内視鏡室に見学できると良いですね。それだけでも、前処置や後の観察の意味が良くわかるはずです。
がん治療の介助
消化器はがん患者が多く、がん治療も多く行われます。根治術としての外科手術は消化器外科で行います。内科で行うがん治療は「放射線治療」「化学療法」です。
●放射線治療
がんに対する放射線治療は、腫瘍の完治よりも腫瘍の成長を遅らせる・少しでも小さくすることが目的となることが多いでしょう。
がんに放射線を当て、がん細胞に障害を与えます。正常細胞も障害される可能性はありますが、がん細胞の方が放射線を感知しやすい習性があることを利用したものです。
全身に放射線を浴びせるわけにはいかないので、限局したがんにのみ使える治療法となります。
適応となるのは、臓器の形態や機能を残せるという放射線治療の特徴や限局性から、前立腺がんや皮膚がん・食道がん・子宮頸がんなどになるでしょう。
放射線治療の量や回数に対する計画が立てられたら、それを看護師は患者と確認・共有し、その前後の処置の説明をします。
副作用として、易疲労感・食欲不振・白血球減少・皮膚の変化などがあります。経過観察と副作用の軽減や対処が、看護師の大事な仕事になりますね。
●化学療法
化学療法は抗がん剤を使ったがんの治療法です。放射線は局所にしか当てられませんが、化学療法は内服や点滴で行うので全身にいきわたらせることができるのが違いですね。
病巣が複数であったり、がん細胞の転移がある場合などに用いられます。
特に正常細胞でもがん細胞のように分裂の激しい部分が障害される可能性があります。
例えば、毛母細胞(髪の毛の元)や、造血細胞(血液や血球を作る)、上皮細胞(消化管粘膜に多い)などです。抗がん剤の影響で髪が抜けたり、血球現象や食欲不振などが副作用に多いのはそのためなんです。
抗がん剤の扱いには、通常の処置以上に緊張を伴います。転職した当初などはじめは抵抗もあるかもしれません。でも、どの医療機関でもマニュアル化されているはずですので、徐々に分かっていくと思います。
そうですね。放射線治療も抗がん剤治療も1回では終わりません。何クールにもわたって続けなくてはならないので、患者は吐き気・食欲不振・脱毛などの副作用と闘いながら長い治療を受けるのです。
副作用の少ない患者もいたり、個人差が大きいので一概には言えませんが、長い治療期間のモチベーションを維持することの大変さは想像できますよね。
生活指導
消化器の疾患を治療しても、そのあとの生活がすぐにスムーズにいくかというとそうではありません。
治療内容によっては、臓器の動きに変化をもたらしている場合もあり、その後の食生活や排泄行動に一工夫必要な状態になることもあるからです。
食事の仕方や内容・排泄の工夫などについて、栄養士やリハビリ科と関連しながら退院後の生活指導をします。
消化器内科の看護師は日常生活を守る!
消化器内科の看護師の仕事は、日常生活の基本である食行動や排泄行動に関与することが多くなります。
『みかん』さんの言う通りですね。シビアな事態も多いのでつい暗くなりがちな病棟かもしれませんが、そんな時こそ看護師の出番です。
消化器疾患であっても食べる楽しみを続けられるように、またがん患者であってもできるだけ通常の生活が送れるような工夫をしていきます。
がんと向き合う患者に寄り添い、時に生き方や自分らしさなどについても考えさせられることもあるでしょう。そんな消化器内科で得られる知識や技術、そして経験は看護師にとって貴重なものとなるはずです。
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。