放射線科の看護師が教える「放射線治療の仕事内容とやりがい」
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放射線科は、配属先によって業務内容は異なります。
『れもん』の言うように造影剤のルートをとることもあります。
「ルートばかりとりたくない!」という多くの声が聞こえてきそうですが、病棟に配属されると造影剤を扱う業務はありません。
私は、放射線科病棟の経験があります。
そこでの経験談を混じえながら、放射線科の看護師についてお話していきたいと思います。
放射線科ってどんなところ?仕事内容を紹介!
まず、「放射線科」とは大きく分けて2つの役割があります。
放射線を使って画像診断をおこなう「放射線診断」と、がんの治療として放射線を使う「放射線治療」です。
よって、放射線科に配属になると、レントゲン・CT・MRIなどの画像検査室だけでなく、画像下治療室を担当することもあります。
また近年では、がんの治療法として、放射線治療(リニアック)を行うことが一般的になってきました。
がん細胞に放射線を当てて、がん細胞を死滅させることを目的とした治療法。
放射線により正常細胞もダメージを受けますが、がん細胞より回復力が早いので生き残ることができます。
副作用は、吐き気やだるさ、皮膚の炎症などがあります。
どんな患者さんが多い?
画像検査に来られるのは、外来患者さんから入院患者さん、お子さんから高齢者まで、担当する年齢層もさまざま。
いろいろな人と触れ合う機会があって楽しい!と感じる人もいますよ。
病棟は、がん患者さんをみることが多いです。
放射線治療は乳がん・子宮がん・食道がん・肺がん・脳腫瘍などに適応していますが、当時は、肺がんの患者さんが多かったです。
おもな業務内容
●外来
- 検査・治療に来られた患者さんの案内
- 検査・治療に関する説明(絶食の有無や検査方法)
- 検査・治療の介助
- 検査・治療への不安に対する、精神的ケア
- 造影剤の準備、ルート留置、副作用の確認
- 前投薬、検査後必要な薬の確認
- 検査・治療後の生活における注意点の説明
外来では、検査や治療に来られた患者さんの案内や、検査の説明をします。
検査中、寝たきりや車イスで介助が必要な場合には、防護服を着て、体を支えることも。
外来患者さんに、検査についての事前説明をする場合には、絶食の有無を伝えることがとても大切。
造影剤を用いた検査では、絶食の必要がありますが、守られていないと延期しなくてはなりません。
また、前投薬の投与が確実に行われているかを確認。
検査・治療後は、今後の安静度の注意点などを説明します。
実際のところ、総合病院の外来の多くは、診療科別になっていません。
放射線科も、「外来部門」に配属されている看護師が、配置されることが多いです。
●病棟
- 日々のケア(検温・保清・内服管理・食事介助など)
- 放射線治療室(リニアック室)への送迎
- 治療の副作用に関するケア
- 看護計画の立案・実施・評価
- 治療や今後の生活への不安に対する、精神的ケア
病棟では、毎日保清を中心とするケアが行われるので、バタバタと業務が続きます。
検査や治療に呼ばれたら、各検査室や治療室に送迎します。
ほかにも、それぞれの患者さんに合わせて看護計画を立案し、実施・評価・修正を行います。
放射線科の看護師が感じるやりがいとは
最先端のがん治療・看護を学べる
H27年に厚生労働省が行っている「人口動態統計」によると、がんは、死因の第一位となっています。
医学の進歩はめざましいですが、それでも多くの患者さんが命を落としているのです。
つまり、がん看護は幅広い看護領域の中でも、多くの知識と対応が求められているといえます。
看護の質が問われる「終末期医療」
「終末期医療」、「緩和医療」といわれるものは、性質上、生活の質が問われるようになってきました。
がん看護を学びたいと思ったら、緩和医療についても学ぶ必要があります。
疼痛コントロールや精神的なケアが中心となってきますが、家族のグリーフケアなども重要。
患者さんの生活の質を挙げるには、看護の質も上げなくてはなりません。
患者さんや家族との絆が深まる
がんは早期発見さえすれば、治る病気と言われていますが、やはり命にかかわる大きな病気。
看護師はもちろん治療にも関わりますが、精神的な部分から支え、アプローチすることが重要な任務。
家族もがん告知によって大きなショックを受け、頻回に付き添いが必要になるなど、生活スタイルがガラリと変わります。
悲しみに心を傾け、負担を少しでも軽減するために、家族との信頼感を築き上げていきたいですね。
病院に任せておけば安心!と思ってもらえることができれば、家族の負担の軽減が図れると思います。
放射線科での私の経験談
肺がん末期の50代男性。
入院時から、できることはすべて自分で行っていました。病状から言えば、とてもつらかったはず。
あるとき、「毎日車イスに座りたい」とおっしゃったので、実施しました。
「こんなにつらい状況で、どうして車イスに乗りたいと思っているのか?」
奥様から聞いたのは、中学生のお嬢さんの卒業式にどうしても出席したいと言っているとのこと。
緩和医療に携わっていた担当医からは、なるべく本人の希望に添うようにとの指示。
血液中の酸素飽和度が80%代になっては中断し、休憩して再開の繰り返し。
何度も「もう止めましょう」と言いかけるのですが、気迫に満ちた様子に言えないまま、数日が過ぎました。
しかし、卒業式を数日後に控えたある日のこと。容体が急変してしまったのです。
お嬢さんが泣き叫ぶ姿は、今でも忘れることができません。
しばらくして患者さんは亡くなりました。
不甲斐ない気持ちを抱えていた私でしたが、奥様からありがたい言葉をいただき、やりがいを感じることができたのです。
「本人も満足したと思います。わがままに付き合っていただいてありがとうございました」
私は「これからも、患者さんがご家族と満足できるお別れができるよう支えたい!」と強く思いました。
おすすめしたい!放射線科の看護師
放射線科は、やはりがん看護に情熱を持った人におすすめ。
がんは今や不治の病ではありません。日々進歩しています。
ということは、合わせて看護も変化していかなくてはなりません。
あなたも、放射線科で知識と経験を重ねてみませんか?
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。