神経内科とは?看護師が神経内科で働くなら知っておきたい特徴まとめ
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神経内科は何を診る診療科なのか、意外と医療者でも知らないことがあるんですよね。恥ずかしながら、私も精神科や神経科との区別がついていませんでした。
実際に神経内科外来に勤務してから、その性別や年齢を問わない患者数の多さと幅広さ、疾患や治療の奥深さに驚いているところです。
頭痛やめまいなど、現代病ともいえる脳と神経の病気にも柔軟に対応しているのも興味が沸きました。
神経内科とは?
神経内科の認知度が低い理由に脳外科という目立つ診療科がある、ということがいえるかもしれません。脳の病気=脳外科という考え方は常識になっています。
神経内科を理解するために、診る臓器が同じ脳と神経である脳外科との対比でみてみます。
神経内科も脳外科も診るのは脳と神経
対象とする臓器は、両科とも脳と神経です。
脳は生命維持・意識を保つための機能を持ち、全身の司令塔の役割を持っています。
それ以外にも、記憶や学習・感情などに関与し、人間らしい活動を維持していますね。
神経細胞は、その脳の指令を的確に末梢組織や筋肉などへ伝えていく役割を持っています。
脳も神経も、人間が生き、基本的欲求を満たしていくための活動をしている重要な臓器なのです。
神経内科は脳内科
頭痛やめまいなど、「もしかしたら脳や神経が病変を起こしているのでは?」と不安になる症状が出たとき、大抵の方は「脳外科かな?」と思うものです。
皆さんの中で、「頭痛などで脳外科を受診希望したのに、神経内科へ回された」という経験をお持ちの方はいませんか?
このことから、少しでも分かりやすいように脳外科に対して脳内科と名付けている施設もあります。
神経内科で扱う病気
脳と神経の病気は、非常にたくさんあります。
脳外科では、手術や急性期治療の適応のある脳神経の病気を扱うとお話ししましたね。そうなると、脳外科で扱う病気はある程度限られてきます。
結果的に、急性期以外の脳と神経の病気全てを扱う神経内科には、非常に多種多様な患者が来ることになるのです。
神経内科の病気の特徴は
- 根治が難しい
- 再燃と完解を繰り返すためライフスタイルに影響する
ということが挙げられます。人の人生を長く大きく左右することが多いのです。
頭痛
一口に頭痛といっても偏頭痛・群発性頭痛・緊張性頭痛とたくさんの種類があります。
今、老若男女頭痛に悩まされている人がかなり多いですね。
たかが頭痛と思うかもしれませんが、適切に診断して対処しないと症状がおさまらなかったり、副作用が出たりします。
神経内科では発作予防も含めて治療していきます。
脳梗塞など脳血管疾患
発症後どのくらい経過しているかで治療法は変わってきます。経過時間によっては脳外科が適応となります。
神経内科では亜急性期から慢性期、そして再発予防まで長く経過を看ていく事になります。
物忘れから認知症
物忘れや認知症は神経内科にとって、メインの疾患の一つです。
認知症もアルツハイマー型やレビー小体型など種類があり、治療法も違ってきます。
神経内科では画像を含むあらゆる検査を組み合わせて、科学的に認知症を診断します。初めてこの流れをみると、斬新に思うのではないでしょうか。
そして、その認知症の検査は日々盛んに研究され、新しい検査法も次々出てきています。
ある意味で最先端の医療ですね!
パーキンソン病
パーキンソン病も神経内科でトップの患者数になる疾患でしょう。
緩慢な動作・手足の震えや小刻み歩行などがよくある症状です。
パーキンソン病はその症候群も含め軽症から重症まで幅広く、長い経過の中で診断を繰り返し、治療を試行錯誤する病気です。
てんかん
けいれん発作や意識消失など、周りから見るとびっくりするようなことが多い病気です。
また、自動車事故の原因にもなったりして、テレビで取りざたされることもありますね。
若い方に多いてんかんですが、根治は難しくても薬でてんかん発作の頻度を抑えることができます。
ただ、生涯続く内服治療は運転の禁止の是非や、妊娠や出産などその人のライフスタイルに直結するため、薬を処方するだけでは無い要素があります。
神経疾患
神経内科では神経が侵され、全身の機能が障害される疾患も多くあります。中には国に難病指定されている疾患もあります。
- 重症筋無力症
- ギランバレー症候群
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- 多発性硬化症
など、いずれも診断や治療が難しく、セカンドオピニオンをとりながら進めていく事も多いでしょう。
本人や家族にも手厚いサポートが必要になってきます。
脳炎・髄膜炎
ウィルスや細菌感染が脳や神経組織に感染しておこる炎症で、発熱や意識障害や激しい頭痛などを引き起します。
抗生物質や抗ウィルス薬で軽快することが多いのですが、稀に予後が長引くこともあります。
発熱や頭痛といった症状が辛いのと診断に髄液穿刺というハイリスクな検査をするので、治るまでの本人の苦痛は強い病気となるでしょう。
睡眠障害
睡眠障害を引き起こす疾患も神経内科の適応です。
- 睡眠時無呼吸症候群
- ナルコレプシー
- レム睡眠行動異常症
などがあります。
神経内科の患者の特徴
あらゆる世代の患者がいる
どの診療科でも患者層の多くは70~80歳代が中心であることが多いでしょう。
しかし神経内科には、学童期から老年期まで幅広い年代の患者が来院されます。
それぞれ、その時期や年齢なりの役割や伴う不安や心配があり、患者の抱える問題も多岐に渡ることになります。
様々な症状の訴え方をすることがある
神経内科の疾患は多く、来院される患者さんも非常に色々な方がいます。そして、神経内科で問診をとるにはテクニックが要る場合があります。
的確に症状を表現してくれる方もいますが、なかには「頭がモヤモヤする」「指先の2本だけ痺れる」「耳の奥にサワサワっていう音がする」などと、すぐに理解することが困難な訴えがよくあるんですね。
極端な例だと、問診票に「なんかわーってなる」とだけ書いている人や、成育歴から現在の症状まで目が痛くなるほど書き連ねてくる人もいるのです。
ちょっと興味が沸いた方は、神経内科に向いている可能性がありますよ!
病状や訴えを先に問診した看護師がどこまで噛みくだけているか、それが適切な診療に大きく関わります。
私は、この謎解きのような作業が神経内科の看護師の仕事の中での一つの魅力のように思っています。
神経内科は長期戦の診療科
神経内科の特徴として症状を同定する所から、検査・診断・治療すべてにおいて一筋縄ではいかず、経過を看る中で判断することも多い、ということがあります。
患者も我慢を強いられることも多く、文字通り二人三脚で治療していくというイメージになるでしょう。
またもう一点、脳や神経の解剖生理は今になっても解明しきれていないということと、複雑な神経の走行などから理解が難しい疾患もまだまだ多い診療科です。
疾患の勉強も難しい診療科かもしれませんが、長期に渡り一人の患者とじっくり関われるという魅力もあります。
現代病のような症状から認知症など高齢化社会の問題も診ることから、この先まだまだ伸びていく診療科とも言えます。
マイナーなようで最先端をいく、奥の深い診療科としてやりがいのある職場になるのではないでしょうか。
興味があれば転職先の候補にいかがですか?
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。