内視鏡看護師の仕事内容と魅力を教えて!内視鏡室で働くなら知っておきたい予備知識
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内視鏡検査は、すでに世間でも周知されている一般的な検査に仲間入りしてきました。
しかし、その検査をする医師の手技は依然として高度ですし、介助につく看護師も特殊な技術と知識を求められます。
看護師のなかでも、一線を置かれる内視鏡室看護師の仕事内容はどのようなものでしょうか。また、内視鏡室で働きたい看護師さんへ、予備知識をまとめてみました。
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内視鏡室検査とはどんな検査?
内視鏡検査はかなり一般にも周知されてきましたし、健康診断でもルーチン化されてきています。総合病院だけでなく内視鏡専門のクリニックも増えてきました。
『れもん』さんのように、内視鏡検査を受けたことがある看護師さんもいるのではないでしょうか。
では、内視鏡検査とはどんなことをして、何が分かるのでしょうか?1つずつ見ていきましょう。
内視鏡検査の内容
内視鏡検査とは、小型カメラの付いたスコープと呼ばれる管を口または肛門から挿入し、消化器の中を直接見て病変の有無を調べる検査です。
状況によってそのまま病変を摘み取る治療にもなります。
スコープの太さは挿入する場所によって適したサイズが選ばれますが、標準サイズは直径1㎝前後で多くの患者は「結構太い。」と驚きますよね。
そして上部消化管の検査は口か鼻、下部消化管であれば肛門からの挿入になります。
内視鏡検査は術者の技術でスコープが向きを変え、消化器の中をぐるりと見渡せます。
また、臓器の中がカラーで見えてくるので、ある程度の診断を付けながら検査を進めることができます。
消化器という診療科の中で画期的な変化と言えますし、少しでも検査が楽に正確になるようスコープも常に改良と研究が為されています。
上部消化管と下部消化管
内視鏡検査において、よく上部?下部?という言葉が飛び交っているのを聞いたことはありませんか?
正確には上部消化管は食道・胃・十二指腸です。下部消化管は大腸で直腸・S状結腸を含みます。
●上部消化管
上部消化管の場合のスコープの挿入部位は口か鼻からです。
以前は口からの挿入が主流でしたが、この口からスコープを入れて飲み込むことの苦痛が、患者側からの最大の難点でした。そこで、更に直径の細いスコープが開発され鼻からの挿入が可能になったのです。
そうですね。どちらが楽かは「お好みで」としか言えないこともありますね。
いずれから挿入してもスコープは咽頭部にたどり着きます。ここで患者にスコープを飲み込んでもらうことでスムーズな挿入となります。
飲み込んでもらうと比較的スムーズにスコープは進み、食道・十二指腸・胃の内壁を確認していきます。
患者は余裕があれば一緒に画面を見られますし、鼻からの挿入であれば会話もできたりするんですよ。
そして内視鏡を戻しながら、反対側からも確認して終了となります。
上部内視鏡検査の偶発症(出血や穿孔、ショックなど)は0.00002%(50万件に1件)です。比較的安全性の高い検査といえますがやはり細心の注意は必要です。
●下部消化管
下部消化管のスコープの挿入は肛門からです。肛門からスコープを入れた後、直腸から上行結腸までかなり長い距離を移動していきます。
病変の有無を確認しながら摘出できるものはその場で取り、悪性が疑われるものは同様の手段で生検に出します。
下部消化管は個人差もありますが、90度近いカーブを3回は通らなくてはなりません。蠕動運動に逆行して進めていくこととともに、カーブのたびに抵抗にあうわけです。
確かに、どうしても耐えられず患者がギブアップすることもあるんです。
そうなんです。また、偶発症の発症頻度も0.069%(1500件に1件)と上部より高いということもあり、下部内視鏡検査を選択する時は慎重になる必要があります。
それでも、大腸に関して精密検査が必要になった時は、内視鏡検査が最も検査で得られる情報量が多く第一次選択になります。
内視鏡室で働く看護師の仕事内容・役割
内視鏡検査で使うスコープの直径はごく大まかに1㎝前後とお話ししました。通常細いこよりの様な状態のティッシュなどが鼻などから入ってきても人は苦しいものです。
それが1㎝前後もある管が鼻や口や肛門から入ってくるのです。楽ではないことは想像に難くないですよね。
内視鏡室検査の看護師の役割は、スムーズな検査の進行と共に患者の苦痛を和らげることが大事になってきます。
内視鏡挿入前の確認
内視鏡検査でのリスクを最大限に減らすため、検査前に問診をとります。
- 抗凝固療法をしているか
- 緑内障や高血圧を持っているか
- アレルギー体質の有無
などで、術中に出血やショックを起こす可能性は無いかを確認します。
前処置の確認
内視鏡のポイントは、臓器内の壁が綺麗に見えることです。
- 禁食で消化管内を空にしているか
- 下部消化管では下剤で便を出しきっているか
を確認していきます。
便が無色透明になっていなければ、高圧浣腸などで便を出し切る処置をしていきます。
麻酔
挿入時の苦痛を減らすため、咽頭部周囲に麻酔をします。
麻酔の方法や薬剤は各施設の方法があります。ただ、口の中にしばらく麻酔薬を溜めておかなければいけなかったり、「実際の手技より麻酔の方が辛かった」という人も多いですね。
はい、鼻炎等があると鼻からの挿入は困難なので、事前に確認し挿入する側の鼻を決めるのですね。
患者は前処置でくたくたなうえに、これから検査という状況で緊張もしているときでしょう。麻酔にもショックはありますし、看護師はねぎらいつつ目を離さないようにします。
術中の介助
上部、下部ともに難点はやはり挿入の苦痛です。スムーズに挿入できるように、医師の指示で患者の体位を変えたり、お腹を押すなどの介助をします。
そして術中にポリープの切除や生検をする時は、医師と直接介助する看護師(医師のこともある)で行います。これが『れもん』さんが感じた、「手術室前立医師みたいな感じ」でしょう。
微細な変化も見逃さないように、検査中は観察を続けなくてはいけません。
術後の説明
検査結果や今後どうするかなど治療上のことは、医師が説明します。
看護師は
- 飲食はいつから開始してよいか
- 本日行った検査により注意すること
- 麻酔をしているので帰宅時の注意
などを説明していきます。
内視鏡専門看護師の魅力
内視鏡室勤務に興味を持っている理由に、専門看護師を取得したいという方もいると思います。認知度もどんどんアップしている内視鏡専門看護師とはどんな資格でしょうか。
内視鏡専門看護師とは?
正式名称は「消化器内視鏡技師」と言います。1種と2種があり、1種は看護師・臨床検査技師・診療放射線技師、2種は准看護師が取得できることになっています。
検査の実際の介助・ポリープ切除の介助・スコープの準備や整備・機器のメンテナンスを、主となって行うことができる資格です。
受験資格を見てみましょう。
- 学会員(消化器内視鏡学会に所属している医師)の従事する内視鏡室で2年以上の実務経験がある、または日本内視鏡学会認定の専門医の指導を受けている
- 指定された学会、講習会へ参加している
何を勉強すればよいか
講習会は「一般社団法人日本消化器内視鏡技師学会」が主催する講習会があります。それ以外には、施設内で学ぶことと、自分での勉強になります。
内視鏡学以外にも解剖生理・病理学・薬理学・麻酔学・外国語など勉強しなくてはならないことがたくさんあります。
資格取得をめざした転職の場合はバックアップしてくれる施設を選ぶと良いでしょう。
合格率は?
現在の合格率は50%です。
確かに独学での合格は難しいといえそうです。できるだけ仕事しながら学べる環境が望ましいですね。求人募集にも、専門看護師取得を応援!などと載っていることもあります。
取得によるメリットは?
まずこれだけの内容ですから、資格取得に向けて勉強しただけでもかなり知識も増えるでしょう。
そして、取得できれば昇給する施設もあります。(ただ、その金額は施設それぞれです。こんなに頑張ったのにこれだけ~ということにならないように、求人内容からもよく確認しておきましょう。)
内視鏡専属になれることもあります。
そこからまた転職活動をしたい時も、アピールポイントとしてかなり有利な資格です。
内視鏡看護師は生涯有利!
内視鏡看護師について、敷居が高いと思っている方もいるかもしれません。
しかし、未経験から活躍している方はたくさんいます。内視鏡専門看護師はどこでも有利な資格ですし、体力的にそれほど重労働では無いので生涯勤められる可能性もあります。
内視鏡は検査として身近になったとはいえ前処置も検査中も苦痛の少なくない検査です。それだけに看護師の活躍できるポイントはたくさんあるのも魅力ですね。
内視鏡室看護師に興味を持った方は、ぜひ認定看護師取得も視野に入れて飛び込んでみましょう。
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。