消化器外科で働く看護師の仕事内容・働くメリットを教えて!
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消化器外科は多くの手術経験が積める魅力があります。
また消化器の手術は、日常に欠かせない食事や排泄などに関して大きな変化があることもあり、その日常生活指導も大切な診療科です。
外科手術と日常生活指導、この二つは看護師にとっての力の見せ所がたくさんあるんです。
外科特有のスピーディな展開と、生活指導などの奥の深さとで未経験者も経験者が転職しても飽きさせません。そんな消化器外科の特徴と看護師の仕事内容についてまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
消化器外科の特徴
外科はいわゆるメスを使った治療をする診療科のことで、頭の先からつま先まで専門分野が分かれています。その中で消化器外科はどんな特徴があるでしょうか。
消化器外科で扱う疾患
人間が食べて栄養と水分を摂りこみ、排泄する生命維持のサイクルを担うのが消化器の臓器の仕事です。
そうなんです。長いですよね。よく体内に収まっているものだなと思ってしまいます。
そして、またその臓器のどれもが何かしらの病気になる可能性があります。
消化器外科で扱う臓器と病気はそれだけ多いということになりますね。(解剖学上は口腔も消化器の臓器に含まれますが、口腔に関しては口腔外科が対応するので、消化器外科では食道からの疾患を扱います)
消化器外科が扱うのは、外科処置によって切り取ることができる種類の病気が主になります。それはがんのようなできもの、また形態上のトラブルにより流れを滞らせる腸閉塞などが挙げられます。
がんでも全身に転移していたり臓器に浸潤してしまっていると外科手術で切り取ることができないので、外科適応にならないこともあります。
●慢性疾患も対象
外科と言えば急性期だけのように思いますが、潰瘍性大腸炎やクローン病のように再燃と寛解を繰り返す慢性疾患の患者も対象になります。
劇症化した時や、止血目的などで現状維持のための手術をすることもあるからなのですが、理解するには難しい、勉強しがいのある病気ですね。
消化器外科の患者層の特徴
入院病棟に限ると、全般的に患者層は80代が最も多く70代が続きます。その後90代となりあとは60代から年齢が下がるにつれて患者数は減っていきます。
消化器外科に関してもその大きな流れは変わりませんが、他の診療科と違う点があります。
一つは消化器のトラブルは老若男女、誰にでも起こり得るので若年層の割合が他の診療科より多いということです。
消化器の臓器は、精神的なストレスに敏感なのですね。そこでストレスの多い働き盛り世代がかかることも多い特徴もあるのです。
また、外科手術の適応患者となると、やはり80代を超して体力に不安が出てくると難しいことが多くなります。そうなると外科適応では無くなります。
このような理由から、年齢層は比較的若めの方が多い病棟といえるでしょう。
消化器外科で行う手術
消化器外科で行う手術は、胃がんの手術一つとっても様々な術式があるなど、かなりの種類にのぼります。ただ、手術で行う内容の基本は一緒です。
まずがんなどの病巣を切除します。そして、切り取った臓器の前後の流れをスムーズにするための再建術が行われます。
●病巣の切除
がんを切除するにあたり、最も大切なことは切除範囲の判断です。
生理的な消化活動のために、切除範囲は小さいに越したことはありません。しかし、がんなどを取りこぼしてしまっては再発の可能性もあり、意味が無い手術になってしまいます。
●再建術式の選択
消化器は口腔から肛門までつながって、それぞれがそれぞれの役割を果たしています。不要な臓器は一つもありません。
がんを切除すれば病巣は無くなりますが、その切除された臓器も一連の消化活動の流れの中で役割を担っていたわけです。
そこが無くなるのですから、当然消化吸収には影響が出ます。それを少しでもスムーズにするために、切り取った臓器の代替コースを作ったり、流れが滞らない道筋を整えたりするのが再建術です。
そうですね。外科手術は、人間の体のリフォーム工事ですね。
胃がんであれば、まず胃をがんの大きさに合わせて全摘出あるいは部分摘出します。そして、その前後の食道あるいは残っている胃と、十二指腸や空腸とつないで、少しでも生理的な消化活動が行えるように再建していくのです。
膵臓など胆管や膵管、他の主要臓器と絡まりあっているような臓器の場合、その再建術はかなり複雑なものとなります。
また直腸がんなどだと体内に行き先が無いので、別の肛門を造らなくてはなりません。人工肛門です。
消化器外科の手術は、このように病気を治すだけでなくその後の生活を考える必要があります。
病巣を切り取っても、その後食べて排泄する課程がうまくいかなければ成功とは言い切れません。
再建術に関して、常にさまざま研究がされ続けてきていて、今後も更に新しい考え方が出てくることでしょう。
消化器外科の看護師の仕事内容
消化器外科では基本的な手術前後の看護とともに、様々な看護技術を発揮する現場があります。
消化器外科の手術前後の看護
●手術前
手術前、患者は不安と期待で揺れ動いていることも多いものです。
術前は
- 術前検査
- 持病があればそのコントロール
- 保清
- 術中や術後のオリエンテーション
などがあります。
オリエンテーションも詳しく聞きたい患者もいれば、あまり詳しく聞きたくない患者もいます。押し付けにならないように、患者や家族の特徴を組んで関わることが大切ですね。
●手術当日
手術当日は度胸のある人でも、「やはり眠れなかった」などという人も多いものです。
そういう気持ちを「察する」のも、看護師にとって大切なことです。
そして、共通して大切なことは当日の点滴や行為などのルーチン業務なども、早め早めに声掛けして進め、患者や家族を焦らせないことです。
自分のスケジューリングがうまくいかず、手術時間が押し迫って慌てて出棟させるようなことは決してしてはいけません。
家族と共に手術室に余裕を持って送り出すことは、手術当日の看護で最優先です。家族には待機室の説明と使い方、何時ころ帰室予定かなどを伝えます。
●手術後の看護①観察と創の管理
手術後はめまぐるしく進みます。
手術直後は
- 麻酔からの安全で確実な覚醒の確認
- バイタルサインの安定
- 手術創部の回復(ドレーン管理)
に努めます。
私が初めて手術後の患者を看た時、先輩看護師たちの流れるような術後ケアに圧倒されて何も出来なかったのを覚えています。
観察項目を書いたあんちょこを片手に緊張していたのですが、細かい項目を一つ一つチェックするより「意識」「バイタル」「傷」の3点をきっちり看ることだと叩き込まれましたね。
●手術後の看護②離床
バイタルサインが安定していれば、手術翌日から段階に沿って見守りながらの離床を勧めます。これは、手術創の早い回復と、再建した消化器臓器の動きを少しでも良くすることにつながります。
また、普段外気に触れない腹腔内の臓器を開腹すると、癒着が起こりやすくなります。こうなると術後イレウスを起こしやすくなります。早期離床は、血液循環を良くし術後イレウスなども予防します。
●手術後の看護③食事や排泄
バイタルサインや手術創などが落ち着いてきたら、きちんと食べて排泄出来ることを見守る必要があります。
どれだけ再建術を工夫しても、以前と同じ消化活動ではありません。食べる量や内容の工夫などが必要となってきます。その指導はとても大切です。
食事を美味しいと思えるようになるように、その人に合わせて看護師は援助を工夫しましょう。
手術以外で、主に行う看護技術
消化器外科では手術前後のケア以外にも学べることがあります。
- イレウス管の管理
- 人工肛門のケアと指導
などです。これらは、他の診療科では学ぶことができない特殊な知識・技術となるでしょう。
消化器外科ではこんなことが学べる・働くメリットとは?
消化器全般の知識
人間の体の殆どを占める消化器の知識が身につくので、あらゆる診療科について結びつきます。
食べて排泄するのは基本です。どの診療科に採用されても、消化器外科の経験は役立つでしょう。
チーム医療を体感できる
外科チームは外科医を中心にコメディカルや栄養士まで、幅広い職種の人との実際の関わりが多く持てます。
消化器外科への転職は、術後の栄養相談・リハビリなどを含めて一人の患者の社会復帰を、チームでサポートする実感を持てるでしょう。
消化器外科看護は日常生活を支える!
消化器外科の患者は比較的若年層が多いことから社会的・家庭的に、役割を持っている人が多い傾向があります。そのような人は、退院後も自分自身の療養だけに専念できないことも少なくないですよね。
その患者が、退院後の生活の中でできる食事のとり方や人工肛門のケアなどを、話し合いながら指導を進めるのが消化器外科の看護師の大事な仕事です。
手術自体が成功しても、その後の日常生活に大きく支障が出たり、夢や希望をあきらめざるを得ないような結果になっては本当の成功とは言えません。その本当の成功の是非は看護師によるケアが握っています。
消化器外科に興味を持って転職を考えている方、今まさに消化器外科の看護師求人を探している方にも看護師の力が存分に発揮できる診療科であるとお伝えしたいと思います。
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。