心療内科・精神科で働いてみたい看護師が事前に知っておきたいこと
PRらいこ
はい。孤独の問題が取り沙汰されるこの頃、話す相手がいることはとても嬉しいことです。
それだけでもホッとしますよね。
このストレス社会の中、心が疲れない人の方が、少ないのかもしれません。
精神科の患者数は増加傾向にあり、精神科と心療内科の施設も、増え続けています。
心療内科は、今、強く求められている分野と言えるかもしれません。
心療内科・精神科は他科とココが違う!
心を扱う心療内科
心療内科・精神科って、少し特殊なイメージがありますよね。
明らかに違うのは、体の病気ではなく、目に見えない『心』というものを扱うということ。
となると、働くにあたって特に不安なのは、患者さんとの関わり方についてではないでしょうか?
私自身も、初めて心療内科クリニックに勤めた時にはいろいろ悩みました。
患者さんと関わること自体は、他科と変わりません。
ですが、心療内科は、自分の関わり方ひとつが患者さんに与える影響が大きいと感じたのです。そこがちょっと怖かったですね。
私がそうだったように、最初は、患者さんへの適切なアプローチが分からずに戸惑うことも多いのではないでしょうか。
観察のポイント
精神科も心療内科も、心を扱います。そして、観察が必要なのは心だけじゃありません。
倦怠感の原因は、肝機能障害ではないか?人格変化の影に、脳の異常が隠れていないか?など、まず最初に、身体的な原因はないか見極めていく必要があるんです。
はい。特に、心療内科は、身体症状を訴えている患者さんも多く来院します。
それらを見落とさないように観察して、アプローチしていくことが必要なんです。
心が原因だという先入観にとらわれず、患者さんを観察すること。それがひとつのポイントです。
心が弱っていると、傷つきやすい
心療内科で働いてみて、思ったことがあります。それは『心が弱っているときは、ちょっとした事でも傷つきやすい』ということ。
これは個人的な感想なのですが、多くの場面で思ったことでした。
患者さんとの雑談って、他科では気軽だと思うんです。病気から離れて過ごす、ちょっとしたリラックスタイムですよね。
でも、心療内科の患者さんとの雑談は、少し違いました。
選んだ言葉、話題そのもの、声の強さ、離れた場所で笑っている声・・・そういったものが、心の痛みのスイッチと繋がっていたりします。
ですから、個人的には、『傷つきやすい状態かもしれない』ということを意識してコミュニケーションしていました。
傷つけられたと感じると怒りにつながりやすいこともあるので、クレーム防止の意味もありましたね。
そういった意味では、雑談も、患者さんの状態を知る大切な手段でした。
観察力と、スタッフや医師間での情報共有は、小さなことでも重要ですね。
うーん、誤解を恐れず言うならば、私は、面白かったですよ。
心療内科でなら、苦しみや、負の部分を安心して素直にさらけ出すことができます。
最初は、それらに驚いたり戸惑ったりもしましたが、その負の部分に一生懸命向き合う時間をご一緒できたことは、大きな学びでした。
心療内科で働かなければ考えも及ばなかった視点を得ることができましたね。
心療内科に転職して驚いたこと
心療内科・精神科での、患者さんとの関わり方について、私が経験したエピソードをお話させてください。
そう、あれは看護学生時代、精神科実習初日の朝。
キラキラした気持ちで臨んだ私が、最初に目にしたものは、廊下でオシッコまみれでのたうち回る患者さんでした。
実習2日目には、入浴介助中に、患者さんに腹に蹴りを入れられました。
・・・びっくりしました?
トホホ。それは大きな反省点です。
もちろん、どちらも、患者さんが好き好んでやった行動ではありません。
のたうち回っていたのは、たまたまその朝に、心身の忍耐の限界に達していたから。
蹴りを入れたのは、妄想の真っ最中に、不意に目の前に人が現れたことで、恐怖の限界に達したから。
きっと、患者さんは、それまで苦しみを耐えていたのです。
どちらも、今なら理解できます。
しかし!その頃はな~んの経験も知識もないピッカピカの看護学生だったので「えぇッ?し、信じられな~いッ!」という気持ちになってしまいました・・・
私の気持ちは一度折れてしまい、改めて精神科の奥深さを知るまでには、何年もかかりました。
たしかに、驚くことが多いのは、否定しません。
例えば、待合室で、椅子を積み上げて、自分を守る要塞を作る患者さんもいます。
生活態度を叱られるのではないかという不安から、ベロベロに酔っぱらわないと診察に来る勇気が出ない、という患者さんもいます。
どちらも、患者さんなりの理由はきちんとあるんです。ただ無茶苦茶をしているわけじゃありません。
ひとつひとつ、理解することを繰り返しながら、看護師も成長していきます。
私に関して言えば、「えぇッ?し、信じられな~いッ!」から、「人間って、もしかして、すごいかも」という気持ちに変化しました。
私は、患者さんとの関わりで、成長させて頂いた実感があります。
でもまあ、他科では、待合室で要塞を作る患者さんとは、そんなに出会わないですよね・・・
知識も経験も乏しい最初のうちは、どうしても、心が衝撃を受けてしまうことはあると思います。
ということで、次は、就職前に読んでおきたいオススメの本、2冊をご紹介しましょう!
経験は積み重ねるしかありませんが、知識は、今すぐにでも増やしていけます。
知識と経験は、どんな場所で働く時も、自分を守るアイテムです!
就職する前に勉強するならこれがオススメ!
今回オススメする2冊の本の共通点は、とにかく分かりやすく、読みやすいこと!
そして、知識がない時にまず知りたいと思うことが書いてあることです。
どちらもとても読みやすい本ですよ。
まずはこちら!
リエゾンナースと考える「困りごと」にどうかかわるか 武用百子/編著 ナースツールズ刊
本の帯に『この本には「答え」はありません。でも次のような場面で「どうかかわればよいのか」考えるためのヒントがあります』とあります。
答えはないと言い切るところが実に誠実。現場では、そう思うことはたくさんあります。
関わり方をイメージしやすく、とても誠実な内容で、素直に読めます。
はい。精神科看護の知識や技術を持ち、障害や疾患をもつ患者とその家族に精神的ケアを行う看護師を指します。
リエゾンナースは他診療科との連携に加え、看護師のメンタルヘルス支援も行います。
この本は、厳密には精神医学に特化した本ではなく、リエゾンナースの視点から、患者さんとの関わり方のポイントや考え方が、具体例を使って書いてあります。
しかし、そこには患者さんとの関わりについての貴重な学びがたくさんあります。
また、具体例だけではなく、体系的な学習についても書いてあり、最初に読むにはとても良いのではないでしょうか。
イラストもかわいくて、とにかく読みやすいです。
次はこちらです!
看護者のための精神科薬物療法Q&A 辻脇邦彦/編集 中央法規出版刊
精神医学で欠かせない治療のひとつ、薬物療法について分かりやすく書いてあります。
各薬物の説明はもちろんのこと、素朴な疑問にもちゃんと答えてくれます。
例えば、『眠剤は何時まで投与OKか』『アルコール・タバコ・コーヒーとの関係は?』など。こういうのって、じつは患者さんからも多い質問なんですよ。
また、『何故服薬確認するのか』『服薬拒否する患者さんについて』といった、臨床で看護師が知りたい小さな疑問も、きちんと拾ってある内容。
重要な薬物療法について、Q&A方式で、読みやすく工夫された一冊です。
初めて働く時は不安もあるかもしれませんが、スタッフ育成のための新人研修が充実している施設もたくさんあります!
反面、現場で働きながら実地で覚えていきましょうね、という施設もあります。
心配な時は、新人教育の内容について、就職前に確認しておいた方がいいかもしれませんね。
どんな所で働きたいか、まず、転職前にしっかりリサーチ!
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。