心臓血管外科で働く看護師の仕事内容と働いて得られる経験
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心臓血管外科は細く繊細な血管を相手にしていて、その手術は緻密で芸術作品の様に細やかです。その繊細さから、外科の中でも独特のポジションを築いているといます。
外科というと外科医の腕が取りざたされますし、もちろんそれも成功のための重要な要素です。しかし実際には手術前後のケアで看護師がどれだけ目をかけ、手をかけたかも大切な要素となります。
コメディカルも含めたスタッフが一つのチームとして、一つの手術を成功に導く過程はダイナミックで看護師として非常にやりがいを感じられる診療科の一つといえるでしょう。
今回は、その心臓血管外科の看護師の役割や仕事内容をまとめてみました。
心臓血管外科の看護師の仕事内容
心臓血管外科の看護師は病院によって、手術室兼務の施設と手術室と病棟ナースは違う施設とあります。病棟看護師の仕事について挙げます。
手術前の患者の全身状態を整える
ほとんどの患者は、循環器内科や他の病院からの紹介で心臓血管外科へ転科してきます。看護師は患者が心身ともに手術に耐えられる状態かどうか、どんなサポートが必要か確認していきます。
- バイタルサイン
- 合併症の有無と程度
- 手術に対してどう考えているか、積極的か消極的か
- 周囲のサポートはあるか
などで、手術が順調に進むように全身状態を整えていきます。
特に患者が手術に消極的な場合は、その理由をできるだけ解消しておく必要があります。
手術するほどの状態となれば、息苦しさなど身体的にも症状がきつくなっている可能性があります。手術に挑むほどの精神的な気力がないこともあるんですね。
手術の成功の是非は、患者の意欲も大きいものです。
ここはやはり看護師の出番となるでしょう。何故積極的になれないのか、十人十色のその理由に応じて対応します。
手術室へ患者を送り出す
手術前日と当日の患者はナーバスになっています。全身麻酔がかけられる大手術ですし、前日一睡もできなかった、という人も少なくありません。
手術当日のルーチンワークはバイタルチェックや更衣、点滴キープなど多くありますが、ここで大切なことは看護師が慌てるそぶりをできるだけ見せないことです。
他の患者も抱えて忙しい中ですが、手術当日の患者には早め早めに次にすることを伝え、準備し、出棟の前は雑談でもできるくらいの余裕を持てるよう心がけます。
手術直後の患者の全身状態のチェック
手術直後の全身状態のチェックは
- 麻酔からのスムーズな覚醒を確認
- 人工心肺を使った場合は循環動態が戻っているかどうかの確認
- 創部の確認として出血状態やドレーン類のチェック
などになります。
術後の急性期が過ぎるまでは、ICUやCCUで経過を看る場合もあります。
大仕事を終えたばかりの患者にはゆっくり休んでもらう環境を整えましょう。また、家族にも緊張から解放されるように声掛けします。
心臓リハビリの介助
術後の急性期を過ぎたら心臓リハビリが始まります。座位や立位などから離床を勧め、徐々に心臓に負荷をかけていきます。
心臓血管外科に始めて採用された方は、心臓リハビリをよく知らないという方は多いかもしれませんね。
心臓リハビリのゴールはその患者の退院後の生活に合わせて、歩けるようになるまで、車いすレベルまでなど細かく設定します。
心臓リハビリには認定看護師制度もあります。意外と奥深く転職後にはまって認定看護師になった人もいますよ。
社会復帰の支援
創の回復も順調で、バイタルサインも落ち着いてきたら社会復帰へ向けてのリハビリが始まります。
術後は「血の巡り」が変化しています。血圧や脈拍などの、基本バイタルに変動があることもあります。
患者は新しい心臓のリズムに慣れていかなくてはなりません。
また、人工心肺を使った場合は特に血栓ができやすい状態です。血栓予防のリハビリやマッサージ、内服を忘れないこと、圧迫ストッキングなど工夫していきます。
歩いてまた仕事できるまでか・身の回りのことが支障なくできれば良いかなど患者や家族と話し合い、病状とすり合わせて目標設定していきます。
また糖尿病や高血圧などの合併症を持っている人がほとんどなので、そのコントロールのための生活習慣の改善も指導していく必要があります。
心臓血管外科の看護師が得られる経験
看護師としての知識・技術
内科のカテーテル治療が進む中、リスクの高い外科手術は第一次選択にはならなくなってきています。
内科の薬物治療やカテーテル治療では治せない患者が紹介で来ることが多いので、難しい症例が集まってくることが多くなるのです。
だからこそ心臓血管外科は、高い知識と技術が得られる診療科となりました。
心臓と血管は全身に波及しまた全身からの影響を受けるので、心臓血管外科で得られる知識は全身に渡りどの診療科でも役に立つでしょう。
また輸液ポンプなどの精密機器の管理・ドレーン類などの術後の管理などに慣れてくれば、「ちょっとした救急外来へ行っても怖くない」という経験が身につきます。
患者や家族との関わり
心臓血管外科では術前から術後まで比較的長く在院されるので、患者が社会復帰するまでの支援に濃厚に関わることができます。
術前の不安から術直後の急性期、社会生活を取り戻す支援まで患者や家族に携われるのです。
「もっと関わりたかったけど多忙でできなかった」という声も多いのも実情ですが、経験を積むにつれてやりがいが出てくることでしょう。
心臓血管外科の看護師でキャリアアップを目指すために!
外科というと、医師の活躍の場で看護師は補助的存在のように思う人がいます。特に、心臓血管外科のように特殊且つ難解な診療科の場合は医師の腕が最も大切に見えますよね。
それはもちろん間違いではありませんが、やはり看護師やチームメンバー全員の協同作業で手術は成功に導かれるものです。
そして、実は優秀な医師ほど看護師やコメディカルの動きを高く評価してくれているんです。
心臓血管外科は循環器疾患に限界を定めず、外科手術で心臓病を治す・また何とか安定レベルで共存していくための手段を模索し続けています。
今後も特に難しい症例に対して研究が続けられていく事でしょう。その点で常に最先端の治療を学ぶことができます。
心臓病の患者が心臓血管外科に期待するものは大きく、時に看護師は押しつぶされそうになることもあるかもしれませんが、まとまったチームに入ることができれば助け合って乗り越えていく充実感も得られます。
ぜひ、良い心臓血管外科の看護師求人を探し当てて、キャリアアップにつなげてくださいね。
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。