サ高住ってなに?サービス付き高齢者向け住宅の看護師の仕事とは
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はいはい、大喜利はそこまで。
「サ高住」とは、「サービス付き高齢者向け住宅」の略。基本的には、介護が必要でない元気な高齢者向けの住宅のことです。
介護施設のひとつと思われがちですが、実は介護施設ではないんですよ。
待てーい!
今、その介護施設ではない「サ高住」も、看護師の就業先のひとつとして注目されているんですよ。いろいろと知っておいたほうがいい問題もありますし……。気になりませんか?
サ高住ってどんなところ
サ高住は介護施設ではない、と言いましたが、その背景をもう少し説明しましょう。
施設数と設置背景
サ高住は、平成23年の「高齢者住まい法」の改正により創設された、新しい施設です。
高齢者の住居にふさわしい設備と見守りサービスを備え、施設数は急増しています。(平成26年現在 4,714件)
参考:厚生労働省 「介護を受けながら暮らす高齢者向け住まいについて」
「特養は空きがない」「有料老人ホームはお金がかかる」といった問題によって入居できない高齢者向けに誕生した、サービス付きの住宅です。
入居者が受けられるサービスとは
サ高住で義務付けられているサービスは、「安否確認」と「生活相談」の2つだけです。
はい。ここからだんだん「サ高住」の特殊性が見えてきますよ。
先に進みましょう。
サ高住では、介護や看護サービスは、入居者各自で契約する外部のサービス(訪問介護、訪問介護)利用します。
ただし、サ高住のなかでも「特定施設」の場合は、入居者は、定額の介護保険でサービスを受けることができます。
特定施設には、介護スタッフが常駐し、手厚いサービスが受けられるメリットがある一方、介護事業所を自由に選べない、生活の自由度がなくなるといったデメリットがあります。
また、施設側にとっては、安定した収益を得られるというメリットがあります。
こうした「特定施設」の指定を受け、介護度や医療依存度が高い入居者を受け入れるサ高住もあります。
そうですね。サ高住のほか、「介護付き有料老人ホーム」や「軽費老人ホーム(ケアハウス)」に特定施設の指定を受けた施設があります。
介護保険で施設内の介護サービスを受けられるという点では同じですが、次の点で違いがあります。
サ高住 | 介護付き有料老人ホーム | 軽費老人ホーム(ケアハウス) |
---|---|---|
民間運営 個人でも可 | 民間運営 企業 | 公的施設 社会福祉法人等 |
低料金(賃貸契約) | 高料金(終身の利用契約) | 低料金(所得に応じて異なる) |
看護師の配置
ですよね。原則として、サ高住には看護師の配置義務はありません。
サ高住の職員の配置については、「ケアの専門家が少なくとも日中に建物内に常駐している」となっており、夜間は通報システムがあれば、職員常駐は不要です。
実際には、サ高住は、居宅介護支援事業所や訪問看護ステーションに併設しているところが多く、これらの併設施設に所属して、サ高住で勤務するという形態がとられています。
看護師を配置(併設も含む)している施設 | 50.4% | 外部の訪看を利用 | 32.2% |
---|
参考:全国有料老人ホーム協会 有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査
ただし、「特定施設」の指定を受けているサ高住は、看護師の配置義務があります。
看護師の仕事にも影響あり!サ高住が抱える問題
さて、ここからは、ちょっと大事な話です。
高齢者向けの住宅として鳴り物入りで誕生した「サ高住」ですが、現在、さまざまな問題に直面しています。
想定よりも介護度が高い入居者が増えている
●介護度3以上の入居者が3割に達している
サ高住の入居者の自立度は、もともとは、「自立~中度」とされていました。
しかし、サ高住でも、介護度や医療依存度が高い方や認知症のある方を受け入れる施設が増えています。
前出の全国有料老人ホーム協会の調査によると、要介護度3以上の入居者が約3割を占めています。
●手薄い体制の中で事故が多発している
しかし、サ高住は介護施設ではありません。夜間の常駐職員がいない中で、転倒や転落などの事故が多発し、発見が遅れたことで死に至るケースや、死後に発見されるケースもあります。
「過剰サービス」や「囲い込み」問題
同じ建物の中に、訪問介護や訪問看護の事業所があって、そこと契約してサービスを受けられるって便利と思いませんか?
デイサービスも同じ建物の中にあれば、通うのも楽ですよね。
もともとは、サ高住に併設した事業所の介護や看護サービスを受けられることが、入居者にとっても大きなメリットと考えられていました。
が、この動きに待ったがかりました。
「過剰サービス」や「囲い込み」という問題です。
サ高住の入居者に対し、不必要な介護プランを組んで介護報酬を得ていたり、通院可能な入居に対しても「訪問診療」を行うことで報酬を得ている実態は、「過剰サービス」とみなされました。
また、サ高住では、外部サービスは自由に選択できるはずなのに、併設の事業所のサービスを利用するように確約させ、外部の目が入りにくくする「囲い込み」も問題視されています。
これらの問題を是正するために、同一建物や敷地内のサ高住へのサービス提供は、診療報酬、介護報酬ともに減算する改定がなされました。
サ高住には、このような問題があることを知っておくと、次の看護師の仕事内容を、より理解しやすくなると思います。
サ高住の看護師の仕事内容
サ高住は、
- 介護度
- 医療依存度
- 認知症
- 運営母体と併設事業所
などにより、サービス内容や看護師の仕事内容も違いがあります。なかには看取りを行う施設もあります。
入居者の健康管理と緊急対応
サ高住の看護師の主な仕事は、入居者の健康管理と緊急対応です。
VS測定や服薬の管理、通院付き添いなど、ほかの介護施設の仕事と変わりはありません。
また、入居者の状況によっては医療行為が必要です。
前出の調査では、サ高住での特別な医療として、
- 点滴
- 酸素療法
- 経管栄養・胃ろう
- ストーマ
- 吸引
- 褥瘡処置
などがあげられています。
サ高住の看護師に必要なスキルとは
サ高住の看護師は、専門的な医療スキルは必要としませんが、看護業務だけに専念できるわけではありません。
入居者や家族の生活相談に応じられる介護サービス全般の知識が必要です。
少なくとも病院よりは簡単な業務でしょう?
たしかに、業務自体はそれほど難しいものはありません。
しかし、介護保険制度や高齢者福祉に関する関心がないと、早々にやりがいを失ってしまいます。
また、流動的に変わっていく制度や役割に対し、「これが看護師の仕事なの?」という不満を持つことになるでしょう。
高齢者の新しい住まいとして注目が集まるサ高住ですが、サービスの実態に関してはさまざまな問題が浮き彫りになっています。
サ高住への転職を考える際は、看護師の仕事内容だけでなく、サ高住が抱える問題についてもしっかり理解しておきましょう。
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。