超穴場！？ケアハウスで働く看護師の仕事内容と求人・転職事情

「ケアハウス」は介護施設のひとつですが、あまりメジャーなものではなく、病院勤務の経験しかない看護師にはよく知られていない施設です。

たしかに、ケアハウスでも看護師を募集しています。

ケアハウスとはどんなところなのでしょうか？また、そこでの看護師の仕事や求人の傾向はどのようなものでしょうか？

『超穴場』かどうか、これを読んでよく考えてみましょう。

ケアハウスは軽費老人ホームC型

ケアハウスは「軽費老人ホーム」の１種です。

「身寄りがない」「経済的に困窮している」などの理由により、自立した生活を送ることが困難な高齢者（60歳以上）が、低額で入居できる公的施設です。（入居条件に所得制限があります）

軽費老人ホームは、3つのタイプに分かれています。

A型	食事サービスあり
B型	食事サービスなし

これらは比較的古くからある制度（施設）ですが、ここに、1990年C型が新設されました。

C型	食事サービスあり、全室個室、バリアフリー

C型は、より高齢者の生活環境に配慮した施設で、このC型を「ケアハウス」と言います。

ケアハウスの設置数と設置背景

ケアハウスは、国や自治体の助成金を供給された社会福祉法人や医療法人が運営する、公的な介護施設です。

2008年に基準をC型に統一し、現在はA型、B型の新設はなく順次建て替えがすすめらています。

軽費老人ホーム全体の数は、横ばい～微増（2,182施設　H24現在　厚生労働省）で、その約9割がケアハウスです。

介護型ケアハウスとは

ケアハウスの入居者は、次のようなサービスを受けられます。

• 食事・洗濯などの生活支援
• 生活相談や健康相談
• レクレーション

など

ケアハウスの入居者が介護を必要とする場合、食事サービス以外は、外部サービス（訪問介護・訪問看護・通所サービス等）を利用します。

しかし、「特定施設入居生活介護」（以下「特定施設」）の指定を受けた施設では、施設内での介護サービスが受けられるようになります。

この特定施設を、「介護型（または介護付）ケアハウス」といいます。

ケアハウスの分類

一般型	介護・看護は外部サービスを利用
介護型	特定施設指定のもと、施設内サービスを利用

ケアハウスの看護師の配置基準

ケアハウスには看護師の配置義務はありません。

ただし、特定施設（介護型ケアハウス）の場合は、定員50名以下の施設で、看護師1名以上の常勤を配置する義務があります。

つまり、ケアハウスの中で看護師が働いているのは、ほとんどが、「介護型ケアハウス」です。

利用者の健康管理と緊急対応

ケアハウスの看護師は、

• VS測定・観察
• 服薬管理
• 主治医への連絡
• 機能訓練
• 医療処置（主治医の指示のもと)

などを行います。

ケアハウスの看護師に必要なスキル

●基本的な看護力は必要

ケアハウスの看護師の仕事には、専門的な医療スキルは必要としません。

しかし、高齢者が生活する場では、緊急事態は起こりうることです。

異常を早期に発見するために、高齢者に特に多い、循環器疾患や呼吸器疾患、感染症の基本的な知識が必要です。

●介護型ケアハウスには医療行為もある

介護型ケアハウスでは、医療処置を必要とする入居者もいます。

インスリン注射・胃ろう・経管栄養・酸素療法・ストーマ管理・尿道カテーテル留置中の管理などの、基本的な看護スキルは必要です。

さらに、一部のケアハウスでは看取りも行っています。

●介護保険制度・高齢者福祉に対する関心

ケアハウスの看護は、病院看護のような難しさはありません。

しかし、介護保険制度や高齢者福祉に対する関心がないと、「これが看護師の仕事なの？」という不満を感じやすく、やりがいを持てなくなります。

また、ケアハウスの入居者は、低所得がゆえの社会的問題を抱えた高齢者も少なくありません。

精神疾患や障がいを抱えていたり、家族のサポートが得られない、虐待からの保護を必要とする、などの社会的背景への理解が必要です。

ケアハウスの看護師には、次のような働き方があります。

• 正職員（交代勤務・日勤のみ・オンコールあり/なし）
• 日勤のみのフルタイムパート
• 短時間勤務（パート・アルバイト）
• 夜勤専従、夜勤バイト

医療依存度の高い入居者を受け入れている施設では、看護師の夜勤がある職場もあります。

基本給と各種手当

病院・有料老人ホーム・デイサービスとの比較

ケアハウスの給料	月収　20万円　年収　350万円
病院の給料	月収　32万円　年収　480万円
有料老人ホームの給料	月収　28万円　年収　450万円
デイサービスの給料	月収　20万円　年収　350万円

介護事業所の中でもやや低めの給与水準となってます。

この基本給に加え、

• 夜勤手当（夜勤ありの場合)
• 時間外手当
• 通勤手当
• 住宅手当
• 手当
• 看護師資格手当　10,000～15,000程度（正看護師の場合）

などの手当てが支給されます。

経験や専門資格の評価は？

ケアハウスの看護師では、認知症看護や高齢者看護の専門資格が仕事の役に立ちます。

しかし、こうした資格を保有した看護師が在籍していても、施設の報酬上は評価されませんので、看護師の給料にも反映されません。

ケアハウス看護師の時給

ケアハウスで、パートやアルバイトととして働く場合の時給は、

時給	1,200～2,000円

となっています。

夜勤専従・夜勤バイト

常時医療処置が必要な入居者がいる施設では、「夜間看護体制加算」を算定し、夜勤要員として、夜勤専従看護師や夜勤バイトを雇用する場合があります。

夜勤1回	20,000円前後

ケアハウスの看護師の求人傾向

ケアハウスは施設数も少なく、なかでも看護師を必要とする「介護型ケアハウス」は限られています。

このため、ケアハウスの看護師の求人数はそれほど多くはありません。

ケアハウスの勤務に向いている人、注意が必要な人

●向いている人

施設看護、高齢者看護の経験や関心がある人はケアハウスの仕事に向いています。

●注意が必要な人

ケアハウスは、病院ほど忙しくはなく時間外勤務も少なく点では、働きやすい職場です。

しかし、

• 新人・経験が浅い人
• 大病院での経験しかない人

は、注意が必要です。

ケアハウスでは、看護師は少人数のところが多く、勤務帯は一人となることもあります。

異常時や緊急時の判断を一人で行わなければなりません。

教育体制も整っていないため、新人看護師や経験の浅い看護師にとっては、不安を伴う職場です。

また、大病院での経験しかない看護師にとっては、設備や環境が整っていない施設看護は相応のギャップがあることを知っておきましょう。

ケアハウスの求人の探し方

●看護師転職サイトを活用

ケアハウスへの転職を考える際は、

• 入居者の介護度や医療依存度はどのくらいか（具体的な医療処置、看取りの有無）
• 24時間の体制をどのように組んでいるか（交代勤務、オンコール、訪問看護への委託）

の確認が必要です。

ケアハウスは看護師の就業先としては一般的ではないため、ネットで得られる情報も限られています。

入居者像を「一般型」だけで想定し、「ケアハウスの看護師の仕事は、介護度が低い人が多いため医療行為はない」と解説するなど、信憑性に乏しい情報もあります。

また、「ケアハウス」の求人検索で抽出される求人のなかには、「特養」や「サ高住」の求人も混在しています。

こうした不確実な情報だけで判断せず、看護師転職サイトを活用し、コンサルタントに詳しい仕事内容や働き方を確認した上で、希望に合った職場を探しましょう。

ほかの介護施設の求人も視野に入れた転職活動を

ケアハウスで看護師として働くことを、どうとらえますか？

正直、働く立場としては、ほかの介護施設と大差ないように思うんだけど。
そうよね。「ケアハウスじゃなきゃ」ってものはないかな……。
超穴場ではなかった……。

そうですね。

看護師がケアハウスに限定して求人を探すことは、合理的とは言えません。

介護分野に詳しい看護師転職サイトを利用し、コンサルタントの適切なアドバイスを受け、幅広い介護施設の中で、「ケアハウス」の選択がベストであるかをよく考えて決断しましょう。


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