「低め安定!?」特別養護老人ホームの看護師の給料事情
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はい、前回は特別養護老人ホームの看護師の仕事内容についてお話したので、今回は、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)で働く看護師の月収や年収について、詳しく見ていきましょう。
特養看護師の基本給
特養の看護師の給与は、地域や施設の規模、運営主体によって大きな差があります。
「夜勤なし」で、所得税や社会保険料などが引かれる前の「税込年収」は、おおむね
- 年収:400万円前後
- 月収:25万円前後
程度です。
どうですか?
そうですね。けして高い給与とは言えないようです。
では、特養の看護師の給与のしくみを、もう少し詳しく見てみましょう。
特養看護師の基本給の設定の背景
では、おさらいです。
特養の運営主体はどこですか?
そうですね。
特養の多くは、地方自治体や社会福祉法人、医療法人などが運営しています。
ちょっとめんどくさい話ですが、介護施設で働こうと思う人には、ぜひ知っておいてほしいことなので、ザックリ説明しますね。
●特養の「公的施設」の意味とは
市町村などの地方自治体や、都道府県知事の許可を受けて設立された社会福祉法人、または医療法人は、営利を目的とした団体ではありません。
これらが運営する特養は、営利目的でないことはもちろん、継続して運営されていくことが求められています。
なので、そこで働く人にとっても、「安定した職場」というメリットがあります。
社会福祉法人や医療法人は、公的施設といっても、公務員ではないので、給料も「公務員並み」というわけにはいきません。
給与規定が公務員の「医療職俸給表」に準じている施設もありますが、多くは、独自の給与表があり、公務員よりは低い水準となっています。
ザックリ言うとそうですね。
経験評価(加算)があるか
もう1つ大事なことがあります。
一般的に基本給は、経験年数や年齢によって定められています。
ただし、看護師経験10年といっても、必ず10年分評価されるわけではありません。
はい、そういうケースは非常に多いですね。あくまでも実働年数で換算されます。
そして、育休などのブランク期間がなくても、経験年数は80%や50%で換算されることも少なくありません。
実はこれは、介護施設への転職に限った話ではなく、病院への転職でも起こりうることなので、知っておきましょうね。
特に介護施設の場合は、施設での経験年数だけを評価する場合があるので、転職を考える場合は、「経験加算あり」かどうか、をしっかりを確認しておきましょう。
特養看護師の昇給について
特養の看護師も勤続年数に応じて給与は昇給します。
ただし、昇給の幅については施設ごとに大きな差があり、ほとんど昇給しないところもあります。
ちょっと待ってくださいね。
たしかに師長などの管理職になると給料は高くなります。
しかし、特養の師長は、給与面ではそれほどのメリットはないかもしれません。
病院のように看護師の人数は多くないため、師長も一般の看護業務を行う場合があります。
また、会議や入居者の家族対応など、時間外勤務も多くなります。
管理職であるため時間外手当が支給されず、管理職手当の額も病院ほどでなければ、結果として仕事に見合わない給与になることもあるんですよ。
そう思っていても、看護師が少ない職場で、正看護師も少なければ、早々に管理職に推されることもあるんですよ。
やりがいは人それぞれですが、給料に限って言えば、それほどいい話でもないような気がしますよ。
やらない、かな・・・。
特養看護師の手当とボーナス、退職金
特養看護師の給料は基本給だけではありません。
病院同様、あるいは病院とは異なる「各種手当、ボーナス、退職金の事情」について説明しましょう。
夜勤手当はない
特養は夜間の看護師の配置義務がないため、ほとんどの施設では看護師の夜勤はありません。
このため、夜勤手当もありません。
オンコール手当は?
夜間はオンコール体制の施設も多く、3人しか看護師がいない施設では、3日一度オンコールというところもあります。
1回のオンコールに対しいくら、と決めている場合や、ひと月にいくらと決めているところもあります。
例えば1回1000円、月に10回の当番で10,000円となりますが、10回分すべて支給されるのでなく、呼ばれて仕事をした時だけ、という条件のところもあります。
その他の手当て
特養看護師の給与には、次のようなその他の手当があります。
- 時間外手当
- 通勤手当
- 住居手当
- 看護師資格に対する「看護師資格手当」
そうですね。手当の額は施設によってまちまちです。
また、「看護師資格手当」に「オンコール手当」を含むというケースもあります。
ボーナスと退職金
●ボーナス
ガッポリかどうかは分かりませんが、ちゃんと支給されるところが多いようですよ。
これも施設によって差はありますが、年2回、計3~4ヵ月分が相場といったところですね。
●退職金
特養でも退職金は支給されます。
もちろん「常勤採用であること」、「給対象となる勤続期間があること」が条件ですね。
そうですね。法人以外の民間企業よりは「低いながらも安定している」といったところでしょうか。
特養看護師の給与に反映される資格は?
では最後に、特養の看護師として給与を高くいただく方法はないか、考えてみませんか?
そうですね、可能性があるとすれば、そこです。
専門看護師、認定看護師、認知症ケア専門士などの専門知識は、特養の看護にも大きく役立ちます。
が!専門的なケアをしてもそれに対する評価(介護報酬としての加算)はそれほど多くはないため、看護師の給与に反映させているところは、まだまだ少ないでしょう。
給料が高いか安いかは、仕事の忙しさや大変さに見合った額かどうか、ということなので、一概に金額だけでは考えられませんよ。
これから先、特養を含めて、介護施設に対するニーズは高くなります。
そのなかで介護施設でも「看護の質」が評価され、給与水準も高くなるかもしれませんね。
それを期待しましょう!
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。