オペナースの役割がわかる!手術室で働く看護師の仕事内容を大解剖!
PRこむぎ
ドクターX「私、失敗しないので」(ドラマを見ている三姉妹)
はいはいはーーい!!『れもん』さん呼びました??
こんにちわ!!現役オペママナースの『こむぎ』です( ´ ▽ ` )
『みかん』さん、手術室のお仕事に興味があるのですね??
いえいえ、そんなことありません!!私だって未経験からの転職で今ではすっかりオペナースですから。
かしこまりました。
それでは手術室で働く看護師のお仕事。
ご案内したいと思います。
オペナースの仕事1【直接介助】
言わずと知れた業務ですね。
手術室といえばまず最初に連想する業務内容ではないでしょうか?
そうです(笑)テレビやドラマでもよく見る光景ですね。
手術の器械の受け渡し
手術室といえばの花形業務になりますが、やっぱり大変なことも事実です。
勤めている病院の診療科目にもよりますが、基本的には介助の方法は手術により様々です。
一つ一つ手順をしっかりと把握し、適切な器械をベストなタイミングで出すことが基本となります。
診療科目が違えば使う機械も全く異なりますから、確実に全てを覚えなくてはなりません。
診療科目によりますが、大体どの病院にも器械類が組み合わされて用意されている「基本セット」というものがあります。
このセットは、「とりあえずこの器械があれば大体問題なく手術が出来ますよ。」と言う器具類があらかじめセットされて用意されています。
このセットだけでも数十種類ありますね。
あ、とは言っても共通して入っている器械類もありますから、覚えることが死ぬほど大変と言うわけではありません。
例えばですが…、どの手術でもだいたい共通する流れがあります。
- 最初にメスで切開をする
- 電気メスと有鉤鑷子で展開していく
- 助手の医師が吸引で介助
などの基本手技ですね。
その通りです。思ったほど器械類を覚えること自体は大変ではありません。
手術の進行がスムーズに行くよう最大限の気遣い…
そうですね。一番大変な業務といえば「ドクターと呼吸を合わせること」じゃないでしょうか?
これが最も大変です!!本当にドクターによっては偏屈で強いこだわりがあって、あーだわこーだわ!!
はっ!!失礼…、取り乱してしまいました。
つまり要約すると
- ドクターの好みに合わせた器械の選択をする事
- ドクターの好みに合わせた器械の出し方をする事(器械を渡す方向や渡す際の力加減)
- ドクターのリズムを乱さない事
手術の主役はドクターであり私たちはサポーターです。
決してドクターのご機嫌を損ねてはいけません。(本当にこれが最も重要と言っても過言ではない…。)
そのために専属でありとあらゆる気遣いをします。
安全に素早く手術を終えることができるようサポートするのが器械出しのお仕事です。
いえいえ、『柿太郎』先生のように本当に優しくて私達看護師にも配慮してくれるお医者様もいらっしゃいます。
本当にそのようなドクターには頭が上がりません。
オペナースの仕事2【間接介助(外回り)】
手術室の花形業務としてスポットを浴びる直接介助ですが、裏方として常にセットで動いている「間接介助」。
実はこちらの業務の方が知識や技術、瞬間的な判断能力や臨機応変さなど求められるスキルがグッと高くなります。
一言で言うと「手術がスムーズに進むよう、術野の状況に配慮しながら患者さんの安全を最優先に援助すること」でしょうか。
箇条書きにすると
- 手術野で使う不足している物品を迅速に術野に出す
- 手術の進行上、不要なものであり、且つ術進行の妨げとなるものを下げる
- 麻酔科医が不在の時(基本的に麻酔科医が席を外すのはNGですがこう言った状況は少なからずあります。)の患者さんのモニタリングと異常の早期発見
- 手術前後の体位の保持と関節の保護、患者さんの保温
- 緊急検査や輸血の依頼・調整
- 術中の記録
- 術中に使用した物品のコスト請求
です。
はい(笑)こちらの方が大変な業務です…。
これから詳細に付いてご説明しますね。
手術で使う物品の過不足を調節する業務
これは直接介助のドクターのリズムを乱さないことに直結します。
そのためには術野で今何をしているのか、何が必要なのかを的確に判断・把握しその手術操作に間に合うように物品を出さなくてはいけません。
簡単に例えると
出血してるなー
↓
あ、術野のガーゼあと3枚しか無いなー
↓
ガーゼを追加で出そう
まぁ、こんな感じです。
そのとおり。要は経験を積んでいけば、自然と何をしているのか理解できます。
次に何が必要なのか、判断できるようになりますね。
難しいことでは無いですが、経験と状況把握の能力・気遣いが必要な仕事になります。
麻酔科医が不在の時の患者様のモニタリングと異常の早期発見
あまり声を大きくして、言ってはいけないことなのですが…。
手術中に麻酔科医が部屋から出て席を外す、なんてことはそれなりにあります(笑)
もちろん、基本的には患者さんの容態が安定している時なのですが…。
それでも術前の診察をしに行ったりトイレに行ったり、お昼ご飯を食べに行ったり…。
様々な理由でいなくなります。
その時にはモニター観察をしながら、患者さんの容態を把握します。
そして異常があれば、すぐに麻酔科にコールをします。
大体はすぐに戻ってくるのですが…。
麻酔科医も医者です…。中には曲者もいます(笑)
過去にはこんなことも…。
術中に患者さんの血圧がどんどん下がってついに60台…、麻酔科医にコールして状況報告しました。
こんな返事が…。
「モニター見てるからわかってます!!そんな事で連絡してくるな!!死ね!!」
と言われ、電話が切れました。
この時彼女は、お昼に大好きな納豆を食べていたそうです。
結局麻酔科部長に報告し、対応してもらいました。
まぁ、これはレアケースですけどね…。私の人生で一番ひどい医者でした。
看護師に「死ね!!」って言うんですよ……。ほんとに…。
手術前後の体位の保持と関節の保護、患者さんの保温
よくドラマで見る手術は、患者さんがだいたい仰臥位ですよね?
実際の手術は「仰臥位」「腹臥位」「側臥位」「ファーラー位」「砕石位」「ジャックナイフ」等簡単に羅列するだけでもこんなにあります。
さらに実際の手術野に応じて、四肢や傾きなど細かな調節が必要です。
そんな状態で患者さんは、全身麻酔がかかっています。
そして筋弛緩剤も投与されているので、常に脱力しています。
普通に我々が睡眠している状態とは、全く異なるのです。
私達はただ寝ているだけなら、無意識のうちに体が痛かったり寝にくいとちょっとづつ体を動かしますよね?
そうなんです。しかし手術患者さんは、薬でその状態を抑制しているわけです。
ですので我々看護師が、そのようなサポートをしなくてはいけません。
長く同じところが圧迫されていると、痛いですよね?
同じポーズをずっと取っていると、関節が痛くなりませんか?
声が出せない患者さんの体を保護するのも、大事な外回りのお仕事です。
特に術者は手術に集中しているので、手術に関係のない場所まで意識が向きません。
術中に体位変換することがあっても、その部分の配慮をするのは外回りナースのお仕事です。
発想は一緒ですけどね。
血流を促すために、マッサージをしたりもするんですよ。
緊急検査や輸血の依頼・調整
この仕事もよりスムーズな手術の進行には、とても大切な業務です。
そもそもこういう自体が発生する時は、手術中に何らかのトラブルがあった時ですね。
やはり一番多いのは、思った以上に出血して緊急輸血が必要になった時でしょうか?
出血が多くなりそうなことが予測される時は、自己血だったり輸血のオーダーがあらかじめ出されています。
自己血輸血がオーダーされていない手術で出血が多量にあれば、緊急クロスマッチや輸血依頼を行います。
他にはAラインが入っていると、何度か血ガスの検査をする事もあります。(緊急検査とは言い切れませんが…。)
術中の記録
電カルにしても紙カルテにしても、手術中の記録を書くのも看護師のお仕事です。
特に手術室は麻薬だったり、筋弛緩系の毒薬も日常的に使用します。
それらの「使用時間・投与量」等の詳細な記録が必要になります。
使用後は患者さんのバイタルも、使用に伴い変動します。
なので何の薬がどの様な影響を出すか、きちんと把握していなくてはいけません。
わかります(笑)聞いたことないお薬がたくさんありますよね。
私も病棟で働いていた時はそうでした。
でも逆に全身麻酔の手術では、必ず使う薬なので毎日嫌でもお目にかかります。
なので自然と覚えることができますよσ(^_^;)
術中に使用した物品のコスト請求
当たり前ですが、手術室でも様々な物品や薬品を使います。
そして医師が行う「手術内容・術式・モニタリングシステム・術中操作用の機器」のコストも看護師が取ります。
なので何にコストが発生するかも、きちんと把握していなければなりません。
そして厄介なのが「重症加算」です。
同じ手術でも他の人よりも、全身麻酔をかけるのにリスクが高い人が該当します。
これは厚生労働省より平成22年度診療報酬改定関係資料として通達された資料に記載があります。
デスヨネ(笑)私もこれだけ見せられた時は「はて??」と困りました。
さっきも言った通り要するに「麻酔をかけるに当たってハイリスクな人は通常より高い料金が取れますよ。」って事なのですが、その定義が決められています。
いろいろ小難しく書いていますので、以下に簡単に羅列しますね。
・心不全の患者
・狭心症の患者
・心筋梗塞の患者
・大動脈閉鎖不全、僧帽弁閉鎖不全又は三尖弁閉鎖不全の患者
・大動脈弁狭窄又は僧帽弁狭窄の患者
・植込み型ペースメーカ又は植込み型除細動器を使用している患者
・先天性心疾患の患者
・原発性肺高血圧症の患者
・呼吸不全の患者
・1秒率70%未満かつ肺活量比70%未満の患者
・治療が行われているにもかかわらず、中発作以上の発作を繰り返す喘息の患者
・HbA1c8.0%以上、空腹時血糖160mg/dL以上又は食後2時間血糖220mg/dL以上の糖尿病患者
・腎不全の患者
・肝不全の患者
・Hb6.0g/dL未満の貧血患者
・PT-INR2.0以上の凝固異常患者
・DICの患者
・血小板5万/uL未満血小板減少患者
・敗血症の患者
・ショック状態の患者
・完全脊髄損傷の患者
・心肺補助を行っている患者
・人工呼吸を行っている患者
・透析患者
・大動脈内バルーンパンピングを行っている患者
・BMI35以上の患者
はい…。そうなんです。( ̄▽ ̄)
割と見るのは太字にしています。
もちろん、どこの手術室にもカンペはあるので(笑)
暗記する必要は無いですが、どんな状態の患者さんが重症加算の対象になるかどうかは、覚えておいたほうがいいですね。
上記の枠内をざっくりと覚えておけば、問題はないかと思います。
「あれ?」と思った時にカンペを見直せばいいだけですからね。
特に!!
最後のBMI35以上に注目!!
やはり基礎が健康体でも肥満があると、それだけで全ての手術操作に悪影響です!!
体重コントロールは、地味に大切ですよ!!
オペナースの仕事3【雑務】
一般的に学生時代にも習うのは、上記の2つだと思います。
だけれども手術室での業務は、このほかにも様々な雑務があります。
ですよね( ̄∀ ̄)私も手術室に入って「こんなこともしてるの??」って驚いたものです。
手術室の清掃
手術室は当然ですが、肉片や血液・体液が飛び散る可能性がありますね。
環境自体が感染源になる可能性が、非常に高いのです。
ですので一件一件の手術ごとに、拭きあげ清掃や感染物の破棄を行います。
いつでも環境を清潔にすることで、感染の伝播を予防します。
その他にもシーツ交換、マスクや呼吸器回路の交換も行います。
そうなんです。ただ手術をこなしていればいいわけじゃないんですよね。
器械類の洗浄・滅菌・在庫管理
当然ですが、手術で使用した器械類は洗浄・滅菌して再度使用します。
場所にもよりますが洗浄・滅菌までは、助手さんがやってくれるところもあるでしょう。
大きな病院になればなるほど、助手さんが受け持ってくれる分野が広くなります。
ですが基本的に責任の所在は、私達看護師です。
洗浄・滅菌を依頼したとしても、その末路がしっかりと目的を果たしているかの確認は必要になります。
数の多い器械類の場合は特に心配はありませんが…。
絶対数が少ない器械だと使用時に、滅菌から上がっていないと大問題になるからです。
例えばですが…。
2個しかしない器械だと、1日に2件までの手術にしか対応できませんよね?
だけどエントリーが3件あったらどうでしょう?
はい。使用後は直ちに洗浄し、何らかの方法でハイスピード滅菌をかけます。
一般的には、簡易オートクレーブを使う事が多いと思います。
1件目の手術が終わったら直ちに洗浄・滅菌をかけ、2件目の手術が終わるまでに滅菌工程が終わるよう調節します。
さすが『れもん』さん。その通りですね!!
使用薬剤の在庫管理・請求
手術室では毒薬や麻薬等、手術室ならではの薬剤がたくさんあります。
それらの使用頻度や動きを予測し、手術の進行の妨げにならないよう在庫管理し発注をします。
そうですよね。病棟だと医師がオーダーした薬剤を、薬剤師が上げてくると思います。
残念ですが手術室でそのシステムを採用すると、必要時に絶対に間に合わないのです。
なので手術室だけ、発注形態が異なるのです。
はい(笑)
同じようにガーゼや覆布等の、衛生材料の発注業務も行う事があります。
どの業務も日々の手術に、多大な影響があります。
1つ1つを慎重にチームワーク良く業務をこなしているわけですね!!
まとめ
いかがでしたか??
ちょっとボリューミーになってしまいましたが、手術室のお仕事をご案内しました。
そうなんです( ´ ▽ ` )
手術に携わる花形業務に目が行きがちですが、いろいろな人員のサポートを受けながら業務が進行しているわけですね!!
今回のご案内で概ね手術室での業務は、カバーできていると思います。
病院の規模によって看護師がやるか、助手さんがやるかは別れるところですが…。
これらさえ押さえておけば、最低限問題ないと思いますよ!!
是非、手術室への転職をお考えの方は、参考にしてみてくださいね!!
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