大学病院で働く看護師は給料がいいってホント?転職で年収アップになるのか教えます。
PRyumi
『みかん』のように「大学病院は給料がいい」というイメージを持つ人は多いかと思います。実際私の職歴の中でも年収が一番よかったのが大学病院です。
そこで今回は、大学病院で働く看護師の懐事情を探っていこうと思います!
大学病院は一般の民間病院よりお給料がいいの?
大学病院は三次救急をとっている病院がほとんどです。ここで比較する民間病院は一次、二次救急とします。
結論から言うと、大学病院のほうが年収は高いですね。看護師の基本給は一般病院も大学も同じです。手当、ボーナスの面で明らかに大学病院が上です。
なぜ大学病院のほうが年収が高いの?と思いますよね。理由は、大学病院は黒字経営が多いからです。
大学病院の経営が安定する理由は・・・
- 検査・手術・治療など高度な技術が必要な手技を行う。このため、高い保険点数が安定してとれる。
- 単純に患者数が多い。
- 高度な医療の提供には看護職員を安定して確保しなければいけない。
例えば二次救急でもできる盲腸の手術は保険点数が24,000点。大学病院で行うような胆道閉鎖症の手術は60,000点。手術1件でも36万円もの差が出ます。開胸術・開頭術も大学病院で行うような手術は全体に点数が高いですね。
そう、高度な技術は値下がりはしないのです。1週間で同じ件数の手術をしても、得ている保険点数に大きく差が出てしまうのです。
採血一つとっても、貧血の検査は安くても、難病の指標になる項目は高いですね。それを診断する医師の診断の力が高くないと、いいのか悪いのか判断できませんからね。
また、患者数についてですが、民間病院はベットを埋めるためのコントロールに必死です。私が以前いた民間病院でも、「空床率が上がったから、入院をもっと入れて・・」ということが度々話題に上がっていました。
しかし、大学病院は努力しなくても患者さんが紹介状を持って集まります。
国立大学病院と私立病院で給料はどう違う?
国立病院の給料
国立大学病院は、平成16年から「国立大学法人」となり、国ではなく、個々の大学での経営になりました。当然、大学ごとに採算は異なり、給料に差は出ています。
給料に差があるとはいってもおおむね経営は安定しており、給料はその大学がある、地方自治体の公務員の給与基準に準じています。
私立大学病院の給料
私立大学は学校法人であり、創立者は個人ですから、給料は個々の大学病院で全く違ってきます。
大学病院で給料が安いという話は聞いたことがありませんが、個別で条件が異なりますので、情報収集は転職サイトでした方がよいですね。
参考:看護師転職サイトは使うべき?メリットとデメリットを整理してみた
大体、首都圏の方が給料が良い傾向にあります。ネームバリューで患者さんの集まることが影響しているでしょう。
研修や学会は、日給が保証される?
会社員であれば「研修に参加する時間」や「資料を準備する時間」も給料が支払われます。
しかし、病院の看護研究発表の準備の時間・院内研修の時間は無給であることが多いですね。
職員研修は定期的に実施していなと、監査で指摘されますから病院も毎年必ず実施します。「法定研修は30分だけ残業をつけて良い」という病院もありますが、大体が無給だと思っておいた方がよいでしょう。
『れもん』のように研修・講習マニアには大学病院はいいですけど、そうじゃない人はやっぱり研修が多すぎるのは辛いですよね・・。
年間の研修のボリュームなど、自分で聞きづらいことは、転職サイトの人に、間に入ってもらって確認するのがスムーズです。
大学病院の募集要項から見えること
ここで国立大学病院と私立大学病院の給料を比較してみます。どちらも3年課程の学校卒業で比較します。
東京大学病院の給与
2交替勤務。夜勤5回、超過勤務なしで計算。
基本給 234,100
主要手当 54,817
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総支給額 288,917
一人暮らしであれば住宅手当27,000円が加算され、超過勤務があるので3~50,000円上乗せされます。ボーナスは4か月分支給。
民間病院は住宅手当が10,000円台であったり、タクシー代・残業代の上限があることがあります。 「大学病院は手当の支給をケチらない」という印象を受けます。
常勤で在職年数が長いほど、順調に昇給していきます。しかし、看護師の平均年齢34歳で、平均年収511万円。若いナースが多いというのは、子育てをしながら働きには厳しいということでしょう。
慶応大学病院の給与
3交替勤務で、準夜勤・深夜勤各4回で計算。
基本給 199,000円
主要手当 96,380円
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総支給額 295,380円
基本給が安いように感じますが、総支給額は国立とそう変わりません。病棟にもよりますが大学病院は超過勤務がないことはあり得ないので、こちらも超過勤務手当が3~50,000円付くでしょう。
ボーナスは6か月分。民間病院ではありえないくらい、高い数字ですね。
看護師平均年齢32歳。平均年収472万円。初任給はいいのですが、そのあとがなかなか上がりません。
ある民間病院の給料
基本給 213,000円
諸手当 62,000円
————————-
総支給額 27,900円
その他、残業手当が付きます。残業手当は2~3万円。ボーナス2か月分。病院が赤字だと、このボーナスも下がるとのこと。民間病院は患者数が減ると、「今年のボーナスはどうなるのかな・・」という話題で持ちきりになります。
国立大学病院は初任給はそれほど高くないけれど、順調に昇給する。長めに努めたい人には向いていますね。
私立大学病院は初任給は高いけど、そのあとが横ばい。「一度は大学病院にチャレンジしたいけど、いずれは実家に帰る人」におすすめ。
大学病院看護師の給料からいえる事
国立・私立大学病院ともに看護師の年収は一般病院より高め。しかも、患者数は減ることはありませんから経営が安定。年収が減るのではないかという不安は持たなくていいみたいですね。
しかし、大学病院は職場の緊張感があるので、気持ちがピリピリします。また、後輩を教育しなくてはならない・研修に参加しなければならない義務は結構な負担です。
言ってみれば、「仕事の重さが年収の多さ」なのです。
「家事と育児だけでも大変なのに、仕事のピリピリ感を持ちながら家庭生活と両立するのは、私は難しいかな」と思います。「独身で自分のペースで生活が出来る人」「家事に協力的な家族と同居している人」であれば大学病院勤務も続けられるでしょう。
私の恩師で看護学校の教員を経て、大学病院の管理者になった人が言っていました。「唯一の後悔は結婚したこと」だと。家庭は仕事の足かせで、看護だけで生きたかったんですかね・・。
大学病院には、年収以上に「看護師を仕事に夢中にさせてしまう何か」があるように思います。
「私は看護の道に生きて、専門の看護を極めるわ!」という看護中毒の人には大学病院はうってつけの職場。好きな仕事で給料も良いのは素晴らしい条件です。
若いうちに大学病院で学ぶべきことはしっかり学び、ガッツリ稼ぐ・・というのも一つの方法ですね。
チャレンジできる時期は限られています。迷っている方は、転職サイトに相談してまずは情報取集をしてみましょう!
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。