脳神経外科で働く看護師の仕事内容~最先端の医療を学べる脳神経外科とは~
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『みかん』さんだけでなく、脳神経外科に興味はあるけど踏み込みづらいという方は多いと思います。訓練された特殊な看護師しか働けないと思ってしまいがちな診療科ですよね。
私が経験した中では、確かに脳神経外科は忙しいです。ただ、急性期はルーチンワークを取得すれば何とかなると思います。
むしろ、そのあとのリハビリ過程や長く後遺症と付き合っていく患者との対話などは千差万別で、印象に残ることや学ばされたことが多いですね。
脳神経外科の醍醐味は看護師それぞれですが、私は看護師としても一社会人としても成長できる診療科だと思っています。
脳神経外科について、どんな診療科なのかお伝えしたいと思います。
脳神経外科とは
脳神経外科で診る、対象となる臓器は「脳」「脊髄」「末梢神経」がメインです。
脳や脊髄、また神経系にトラブルがあると、骨や筋肉などの付随する臓器に異常がでることがあります。
そこで、脳神経外科で診るのは、脳や脊髄・取り巻く付随器官ということになります。
脳神経外科の疾患は全身に影響
大雑把に言うと、脳は全身の動きを司ります。神経はその脳の指令を伝え、また末梢組織からの情報を脳に伝えます。
脳という司令塔が病気になると、指令がうまくいかなくなります。
例えば左の大脳が脳梗塞になってしまったりすると、動きを司っていた右半身に上手く指令が届かなくなります。そして、右麻痺になってしまうのです。
このとき、精密検査したり治療をしていくのは脳ですよね。しかし、症状が出ているのが右の上肢であれば、その部位の筋肉や神経の状態を診なければなりません。
これが脳や神経と付随する末梢器官を診るということです。
末梢組織に知覚障害や運動障害(例えば指先が痺れる・腕がうまく動かないなど)があっても、脳のトラブルが無いと判断されれば整形外科等に送ることになります。
手足の動きや知覚の異常が出た時、一番心配なのは脳や神経の障害です。生命レベルの危機に直結する可能性があるからなんですね。
まずは脳神経外科にかかって、否定されれば神経内科や整形外科に行くという流れになることはよくあります。
病名や症状に左右されず看ていくには、脳神経の解剖生理を覚えるのが一番です。
脳神経外科の対象疾患
脳は全身の司令塔であり、神経はメッセンジャーです。対象となる疾患は多くあります。いくつかすぐに浮かびますか?
そうですね。年間患者150万人(20年後は300万人と予測)とされる脳卒中、脳梗塞は今後も脳神経外科のメインの疾患になるでしょう。
他に、水頭症や先天奇形に対する手術は高次脳機能(認知力など)を回復させることがあります。
また、髄膜炎や脳炎、エイズによる脳神経の炎症に対する対症療法も脳外科の領域です。
本来なら神経内科の適応になる、パーキンソン病やてんかんに対して外科手術が適応になるケースもあります。
そこが障害されることで、不自由になる行動を少しでも改善することが脳神経外科の手術といえます。
脳神経外科の看護師の仕事内容
脳神経外科の看護師の仕事内容は、大きく分けて急性期の手術や治療と、リハビリ期の看護になります。
求人は、急性期病棟とリハビリ回復期病棟で分かれていることも多いので、興味のある方を選んでも良いかもしれません。
急性期の看護師の仕事内容
脳神経外科での急性期とは、主に次のような状況が挙げられます。
- くも膜下出血
- 脳出血
- 脳梗塞発症直後
- 交通外傷
などが急性期治療の対象となります。これらの状態の時は、「まず救命」が最優先です。
●経過時間と意識レベルの確認
脳神経の急性期にとって、経過時間の確認と意識レベルのチェックは必須事項です。
交通外傷による脳挫傷などでは、経時的に意識レベルが変化します。致命的になる前に手術できるように準備する必要があります。
いずれにしても、経過時間と意識レベルのチェックを分単位で確認するのは急性期の看護師の大事な仕事です。
●血圧コントロール
くも膜下出血や脳出血では、血圧が200台を超えていることはよくあります。血圧を頻繁にはかり、降圧剤の投与を医師の指示で続けます。
一度下がった血圧が、再度上がってしまうようなことがあると危険なので頻繁にチェックします。
●検査の介助
主にCTで梗塞か出血かを確認し、出血が無ければMRIで梗塞巣の確認をしていくという流れが多いでしょう。
交通外傷であれば、CTで出血範囲と出血で圧排されている範囲を確認します。
この検査中も意識レベルが落ちかねないので、素早く慎重に観察しながら介助します。更に、出血の可能性が残っているときは、あまり衝撃(移動時や光や音)を与えない工夫も必要ですね。
●治療の準備
発症時間によってできる治療や手術の準備をします。
ここまでの流れは、ほとんど人数をかけて同時進行で行います。うまくいけば、するすると麻痺が改善して劇的な変化を見せてくれることもあるんです。
リハビリ期の看護師の仕事内容
急性期を過ぎると、リハビリ期に入ります。
急性期治療が功を奏して、麻痺も無く改善されていれば生活指導などで再発予防が看護師のメインの仕事内容です。
麻痺が残ってしまったり、なかなか重症状態が改善されない時は個々の関わりが必要になります。
●リハビリ
麻痺側の改善を目指して、リハビリ科と協同して運動療法や作業療法をしていきます。
療養生活の中で、看護師はリハビリを導いていきます。
●退院後の生活調整
リハビリ期の看護は、ただやみくもに行うものではありません。患者によってゴールは違うからです。
退院に向けて目標設定するためには、その患者がどこまでのADLを獲得すればよいかを考えなくてはなりません。
時に、医療者が目指せると考えるゴールと、患者や家族が目指したいゴールが違うこともあるんです。
●再発予防指導
日常生活習慣から発症している患者には、その見直しをします。また、治療過程で障害が出たり気をつけることがあれば、それらを指導します。
できるだけ画一的でない、個々に合わせた指導を工夫します。
発展していく脳神経外科
脳・神経・脊髄という臓器に関しては、まだまだ解剖生理レベルで未知数なことがたくさんあります。対象となる疾患もどんどん増えています。
脳神経外科に転職してみると、次々に発表される新しい治療法にも驚くことと思います。
患者や家族の本当の希望は、改まった病状説明の場より日常のコミュニケーションから出てくることが多いものです。
そういう場面に多く遭遇できるのは看護師です。
脳神経外科は、患者や家族が本当に満足できる療養環境を提供することを、看護師の力でできる魅力的な職場だと思います。職員募集も多くあります。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
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登場人物
のんびりな性格の新人ナース。2人の姉の影響で看護師に。色々なことに疎く、生き方もなぁなぁ。
キャリア志向のナース。趣味はセミナー巡り。大の血管好きで血管愛好家という一面も。
仕事と子育ての両立に励むママナース。2児の母。三姉妹の中で最もおっとりした性格。
みんなに愛されるダンディな開業医。頭から生えてきた額帯鏡がチャーミング。
仕事も男も経験豊富なベテラン看護師。数多の男を落としてきた美脚は今なお衰えていない。
犬か猫かどっちか分からない正体不明のペット。自分もナースだと思い込んでいる。